2014年12月の法定12ヶ月点検において、全サスアームのブッシュをリフレッシュした。当初は路面の細かい凹凸をよく拾ってヒョコヒョコとした乗り心地だったが、1年が経過する間に身体が慣れてしまい、跳ね回る挙動に何も感じなくなっていた。それでも乗り慣れていない人からすれば「硬い。乗り心地が悪い」らしい。さらに各ブッシュが十分に馴染んだおかげか、アライメントの狂いが目立つようになった。症状としてはステアリングハンドルから手を離すと左に流れる傾向があり、操舵感が右と左で異なることから、ホイールアライメントの測定と調整を依頼した。本来は2015年末に行うつもりだったが、なかなかタイミングが合わなかったことから2016年春先になった。
テスター上に載せられ、さっそく作業前の測定が始まった。ブッシュ交換後は数値が綺麗に整っていたが、現在は全タイヤが明後日の方向を向いている。少々ぼやけているが、フロントの左キャスター角が4°20'、右キャスター角が-1°27'と不揃いで、これが左右で操舵感が異なる原因のようだ。今回もまた「メンバー動かして数値を追い詰めてください」と、即座に別注。フロントメンバーを動かすと別工賃が掛かってしまうが、もう想定内だったりする。
フロントメンバーをいじり始める二人のメカニックさん。ボディとフロントメンバーを締結するボルト穴は、ボルトに対して少しばかり余裕を持たせて開口しており、予め設けられた「誤差」だったりする。工場での製造時、この誤差を利用することで、ライン作業での組み付けを容易にしている。また、この誤差を使って本来は不可能とされている、キャスター角の調整を行う。詳細は1回目のホイールアライメント調整
を参照のこと。
フロントメンバーのボルトを緩めておき、ロアアームの根元と牽引フックをチェーンで連結し、少しずつ縛っていく。ジャッキアップして少しずつチェーンを縛り、フロントメンバーを僅かに動かして数値を確認することを何度も繰り返す。左右で合計5°も差があったキャスター角は揃っていき、ついに左右で1°に揃う。その場に居た全員が「揃った!」と歓喜の声を上げた。
今回の調整結果がこちら。不揃いだったキャスター角を元に戻すことができた。キャンバー角に関してはタイヤの設置状態=ブッシュの状態に応じ、ジャッキアップ毎に微妙に変化していた。これこそ調整は不可能な部分で、現時点で許容範囲とされる数値内に収まっていることからOK。気になる点はリアのトー角。設定数値ではIN側に2mmとされているが、0mmで揃っている。しかも、このメーカーで設定されたIN2mmというのが、図でいうところの「トゥ」「トータルトゥ」のどちらを示すかは不明だ。この数値で1タンク走ってみた結果は後述。
ハンドルのセンターがズレている!?
整備工場からの帰宅時、ハンドルのセンターがズレていることに気づいた。若干右に切った状態で直進している。それ以外に不具合はなく、左右のキャスター角が揃っていることから軽やかなハンドリングになっているが、センターが狂っている点は大きな減点ポイントだ。普段なら即戻ってクレームで修正させるところだが、時間と暇があることから、この程度の狂いなら自前でやってみよう!と毎度お馴染み、1/1スケールの機械弄りの精神に点火した。
さすがに走行中の撮影は危険なので、イメージで。少し大げさながら、若干右に切った状態を再現。全てのホイールアライメントが整っていることから、左右のタイロッドの不揃いと判断した。タイロッドの長さ調整に限れば、RCカーで頻繁に行うもので、1/1(現物)1/10(RC)問わず、やることは全く一緒。水平で直線な空き地で調整作業を開始する。
まずは左(助手席)側から調整を行う。ハンドルを右一杯に切り、タイロッドエンドを見えるようにする。オレンジ色の線で表したように、目立つ色の油性マジックで基準線を引く。ロックナットを緩めたら、タイロッドを回す。今回のようにハンドルのセンターが右にズレているならば、タイロッドは時計回し(黄色矢印方向)に回して、タイヤを右に向かせる。このとき、基準線と六角状になったタイロッドを活用し、1/6…60度(360÷6=60)ずつ回し、微調整を積み重ねていく。
続いて、右(運転席)側の調整。今度はハンドルを左一杯に切って、ここからの流れは先の左(助手席)側と同じ。基準線を引き、ロックナットを緩めてタイロッドを回す。ハンドルセンターが右にズレていることから、タイロッドの回す向きは、今度は反時計回り(緑矢印方向)になる。これでタイヤが右を向く。やはり1/6ずつ、かつ左(助手席)側のタイロッドと同じ量を回すことが重要で、左右で回す量が違うとトーが狂ってしまうので注意。
左右で1/6ずつ回したら、一旦ロックナットを固定して試走チェック。先ほどまで右に切れた状態で直進していたが、ハンドルの位置が僅かばかりセンター方向へ修正され、運転しやすくなっている。同時に、直進性や左右の旋回に違和感がないことを確認し、再び1/6ずつ回す微調整を続ける。DIYでのハンドルセンターの調整は、根気、時間、燃料をやたらと使うが、これも楽しみの一つだ。
〆
全ての調整が終わり、アライメントが整ってハンドルセンターの狂いも無くなり、軽快なステアリングフィールが戻って運転が楽しくなった。リアのトー角が0度になっている設定は今回が初で、さっそく走り込む。低速高速コーナー問わず、思い通りのラインを選べ、コーナリング中の妙なブレはない。直進ではスピードメーターの指針がぐるりと回り、下を向くまで全域に渡ってスムーズで、そこからの強いブレーキでも挙動が崩れるようなことはなかった。結局、燃料タンクを使い切るまでに違和感を覚えるようなことは全く無く、当面はこのアライメントで走り回ることにした。
ハンドルセンターのズレについては、ちょっとした事情があって整備工場にクレームを入れにくい部分もあった。このあたりは似たような業界で働いている身ゆえ、仕方ない部分もある。こちらも整備工場内では自由にさせてもらっているので、持ちつ持たれつといった感じだ。
走行距離:221,237km