納車後一発目の不具合となった。

直線道路を走行中、手を離すと左に流れていく。ステアリングを右に切ったままで、直進するような状態だ。街中の低速走行では分かりにくいものの、速度が出る高速道路だと、左流れが顕著に現れる。この状況から、ホイールアライメントが狂っていることを直感した。思い出してみれば、ホイールアライメントにはいい思い出が全く無い。

・最初に所有したEK4シビックSiRIIでは、タイロッドエンドの交換後、調整し忘れたため左に流れていく。

・二台目のDC2インテグラRでは、フレームが曲損しており、その影響でわざと左に流れる設定になっていた。

・三台目となる今回のEK9シビックRでは、修復歴無しで足回りは一切痛めていないのに、左に流れていく。

と、三台ともマトモに直進する車ではなかったりする。

今回の場合は本当に謎だ。修復歴無し、足回りはノーマルでダメージはゼロ。それなのに左へ流れていくのだから、どうしてだろう?と頭を捻るしかないわけで。頭を捻って、真っ直ぐ走るようになるならば苦労しない。というわけで、プロに見てもらうことに。

診断開始

アライメント測定台に載せられて、診断開始。実は、この時点で『自動後退』などが行なうアライメント調整とは違っている。

漬物石

窓からチラリと見えるのは、なんと漬物石。合計60kg。「ドライバーが乗った状態と乗らない状態では、全く異なる数値が出る。 誰も乗らない状態で、ホイールアライメントを取っても意味が無い。車は運転するのだから、運転する状態でホイールアライメントの調整を行う」ということだ。

診断画面

やはり、左流れの主な原因はフロントタイヤのトゥにあるようだ。

診断画面

全ての調整前の数値。全てのタイヤが、明後日の方向を向いていた。これでは真っ直ぐ走れるわけがない。

逆ハの字

モデルを用いて、状況を再チェック。車体を上から見ると、フロントタイヤは「\ /」となっていて、逆ハの字状態となっていた。ハンドルを中立にしてトゥを調整、完全にまっすぐにする。併せてリアタイヤのトゥも調整して、左右を均等にする。

一回目の調整結果

一回目の調整後の値。フロントとリアのトゥを揃えて、がに股状態を補正する。調整後、担当メカニックによる試運転…結果は「まだ流れます」。フレームとか足回りにダメージ無く、この結果はかなりショックだ。「キャンバー角とキャスター角が不揃いによるものかもしれない」とのこと。用紙を見ると、確かにキャンバー角とキャスター角が不揃いとなっていた。

キャスター角の調整

基本的に、キャンバー角とキャスター角の調整はできず、トゥまでとなる。三台目となる、今回のシビックRも、足回りに何らかの不調を抱えたまま走ることになるのだろうか。担当メカニックによれば…。

「メンバーを動かして、キャスター角を調整してみますか?ただし、それで直るかどうかはやってみないと分からず、ホイールアライメント調整の範囲外だから、別工賃になってしまいますが」

…ということだった。別工賃でもいいから、再度調整を依頼。ケチってはダメだ。メンバーとは、サスペンション等を固定する部分で、サブフレームとも呼ばれる。

キャスター角の調整方法

キャスター角を調整する方法として、メンバーの取り付けボルトを緩めて、メンバーごとロアアームを動かす。これでキャスター角を調整し、左右が調律したところでボルトを締める。メンバーを引くために、写真の赤い線のように、ロアアームと車両固定用の穴をチェーンで結んでいた。

キャスター角の変化

行った作業を図で表現すると、上記のようになる。メンバーを動かすことで、ロアアームの位置をずらし、キャスター角を調整する。

二回目の調整結果

二回目の調整後の結果。キャスター角が見事に揃っている。再度、全てのホイールを調整した。緊張の試運転。…若干であるが、まだ左に流れる。でも、工場に行く前に比べれば明らかに改善しており、運転がかなりラクになった。

残るはキャンバー角だが、これはノーマルの足回りではできない。社外品のキャンバー角を調整できるアッパーアームを取り付けた上で、調整となる。

工場を出発してから、湾岸線で超高速試験(もちろんスピードは…お察し)。挙動が出発前とは明らかに違う。高速域での安定性は、本当に素晴らしいもの。これでまだ左流れの症状が残っているのだから、完全に直ればもっと良くなるだろう。

意外な結末

左流れの症状は、タイヤを交換したら完治した。

このホイールアライメント調整時に履いていたタイヤ(Dunlop LE MANS LM702)は、中古車屋が用意したものだった。購入した時点ではBS POTENZA GIIIを履いていたがスリップサインが出る寸前で、中古車屋側が気を利かせて、中古タイヤながらも山があるタイヤを用意してくれたらしい。

だが、このタイヤこそが、キャスター角を調整しても左に流れてしまう原因だった。つまり、直進しない原因は「ホイールアライメントの調整不良」と「タイヤの不具合」の二つだった。タイヤを見た感じでは、片減りや偏磨耗は無かったものの、微妙な不具合が左流れの症状と出ていたのかもしれない。実際に地面に触れているのはタイヤだ。いくら調整したとしても、肝心のタイヤがダメでは、はっきりした効果は出ない。理想を言えば、新品タイヤの状態で、調整するのがベストだろう。

キャスター角の調整でメンバーを動かす作業方法は、『自動後退』などでは、絶対にやらない。調整できる範囲でしか実施しないので、本当の調整には程遠いながらも、工賃は決して安くは無い。専門知識を持つショップに依頼し、納得のいくまで試乗を繰り返しながらとことん調整する。半日はかかる作業だ。

ここでしっかりと調整を行っていたため、後のタイヤ交換linkにおいても、バランスよく磨耗していることが確認されている。

走行距離:73,803km

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