2016年1月17日に純正ラジエターに戻したlink。それから一ヶ月、エンジン始動前点検の際、リザーブタンクの水位が少しずつ減っていくことは気づいていたが、エア抜きが不十分だったことによる影響だろうと何も考えずに注水を繰り返していた。

ある日、駐車場でフロントノーズの直下あたりに緑色のシミを発見した。ボンネットを開けると、相変わらず冷却水のニオイが広がる。直感的に冷却水漏れと判断したが、別に動じるわけではない。事態に慣れてしまったことは少々変な話だが、ひとまず漏れた場所を探す。

湿ったマウント部分

ラジエターのロアマウント部分を見ると明らかに湿っており、フレーム側も濃い緑色のシミが残っている。ラジエターを交換したとき、冷却水を撒き散らすミスはやったが、高温に晒される部分でその後に高圧洗浄も行っていることから、何も無ければ乾いているが、この湿り具合だ。間違いなく漏れている。ラジエターに顔を近づけてみると、冷却水のニオイが強く感じられる。

ロアタンクからの漏れ

漏れ箇所を特定するためにデジカメを突っ込んで撮影を繰り返したところ、ようやく発見に至った。ロアタンクのカシメが外れており、漏れた冷却水が乾いて成分が残ったことで、白い筋が残されている。

常に漏れているわけではなく、長時間のアイドリング等、最も熱くて冷えにくい状態のときに滲むようにして漏れ出していたのかもしれない。リザーブタンクの水位が、少しずつ減っていた原因はどうやらここ。

アッパータンクのカシメ部分

アッパータンクのカシメ部分も開いており、ところどころ冷却水の乾いた白い粉が付着していることから、滲み出ているようだった。破損したラジエターをメーカーに返送したところ、冷却回路内側からの過大な圧力により、カシメが開いたという見解だった。

本来は密閉されている、冷却回路内へ強い圧力を及ぼすものといえばヘッドガスケット抜けがあるが、アッパータンク内の冷却水は満たされており、排ガスに大量の水分が混じる様子も見られず、ヘッドガスケット単体についてはひとまずシロと判断した。その他、圧力を制御する部分といえばラジエターキャップだ。

冷却水の流れ

エンジンが完全に冷え切っているときは、ラジエターキャップの負圧弁が動作してリザーブタンク内の冷却水を吸引する。エンジンが温まれば、今度は主圧弁によって冷却水はリザーブタンクに押し出され、リザーブタンクの水位は上がる。

今回の破損事例の場合、動作がおかしかったのは主圧弁で、高温高圧で体積が増えた冷却水を閉じ込めたままにした結果、ラジエターのアッパータンクとロアタンクを内側から攻撃し、カシメを開いて水漏れを起こしてしまったらしい。

エンジン(冷却水)が外気温と同等…10℃を下回るような状態のときにラジエターキャップを開けたところ、冷却水が噴出したことからも、冷却回路内に必要以上の冷却水がとどまっていたことを意味する。

原因はネタ部品の水温計付ラジエターキャップと見当が付いたので、SPAC(PIAA)製のものに交換した。代替品が到着するまでの間、さらなる漏れや破裂という最悪の事態を引き起こさないようにしておく。そしてラジエターキャップを交換したら、ロアタンク部からの漏れ、アッパータンクの滲みそれぞれが止まったのだった…。

正常なアッパータンクのカシメ部分

↑:正常品 ↓:破損品

不良品のアッパータンクのカシメ部分

両者をほぼ同じ角度で不良品を撮影してみると、その歪み具合がよく分かる。通算、四度目のラジエターの交換となるわけで、何も感じることなく早く終わらせることだけに集中するようになっていた。

エア抜きについて

ラジエターを脱着するとなれば、どうしても冷却水を抜かなければならないが、問題はその後。冷却回路に混入した空気を除去しないと、配管内に残っている空気が冷却水の流れを阻害してオーバーヒートの原因になってしまう。

冷却回路のエア抜きといえば、半分に切ったペットボトルをラジエターのアッパータンクに突き刺して冷却水を満たし、アクセルを煽りながら泡(空気)が出なくなるを待つという、時間と燃料を大量に使う方法が当たり前のようになっている。

EKシビックのサービスマニュアルを参照すると、そんな手間や道具を使うようなことは一切記載されておらず、何も考えずに冷却水を補充し続ければOKという、先述した当たり前の作業を知っていると本当に大丈夫か?と疑いたくなるような内容が示されていた。今回、ラジエターの四度目の交換に併せて、このサービスマニュアルの方法をベースにした作業を試してみた。

1.ドレンコック等の閉め忘れがないか確認。ヒーターを全開にしておく(ブロワーファンはOFFでOK)。

2.冷却水をラジエターのアッパータンク上部まで補充する。

冷却水の注入

注:上図ではラジエターキャップを装着しているが、開けっ放しのまま。

3.エンジンを始動してアイドリングし、サーモスタットが開くのを待つ。サーモスタットが開けば、アッパータンクまであった冷却水の水位は落ちていく。(サービスマニュアルでは1,500rpmを5分間保つように記載されているが、騒音の問題からアイドリング状態のままにしていた。)

4.エンジンを止め、再度アッパータンク上部まで冷却水を補充し、同時にリザーバータンクには上限(MAX)まで補充する。

リザーブタンクの上限(MAX)位置

5.再度エンジンをかけ、水位が下がらないことを確認し、ラジエターキャップを取り付ける。水位が下がる場合、さらに冷却水を補充する。ここまで終えれば走行可能。

6.一晩放置して翌朝、最初のエンジン始動前にリザーバータンクの水位を必ず確認し、下がっているようなら上限(MAX)まで追加補充する。

このような流れだ。冷却水の補充中は、水位の低下だけに気をつければいい。作業工程から分かるように、エア抜きのための別途作業は行っていない。冷却回路の構造上、空気はリザーブタンクを通じて勝手に排出されるからだ。ただし、排出した大量の空気と置き換わるようにしてリザーブタンク内の冷却水をたっぷりと吸い込むので、翌日は必ずリザーブタンクの水位を確認するようにしたい。

ラジエターを交換後、400kmほど走行して異常がないことを確認した。ラジエターキャップの不具合といえば、正しく加圧されなくなることで沸点が下がり、冷却不良に陥る。ところが、今回は主圧弁の固着という珍しい事象により、冷却水の圧力がどんどん上がってしまい、ラジエターを破壊してしまった。

手のひらサイズのとても小さな圧力弁だが、故障状態によっては容易に冷却回路を壊すだけの能力を秘めている。ラジエターの破壊に留まり、エンジン本体は無傷だったことが、不幸中の幸いだった。

走行距離:219,362km

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