燃料計「ハイオク満タン、支払いは現金で」という、いつもと変わらぬ給油を終わらせ、ガソリンスタンドを後にする。古い車ゆえ、燃料計の針がFを示すまではしばらく時間がかかる。じわりじわりと針が上に向かって動く…のを止めた…?指針はFから数えて、3本目の目盛りで止まっていた。

スタンドの店員が、給油ノズルをガチガチやる追加給油は見ており、間違いなく満タンとなっている状態で、この指針の位置はおかしい。セルフスタンドにて、給油口ギリギリまで再給油して5リットル追加。これで針は多少動いたものの、まだF目盛りは振り切らない。何かしらのトラブルを抱えていると断定して、予想される原因は二つ。

1.燃料計そのものの故障

2.燃料タンク内の燃料センサーの故障

何度もメーターは分解しているが、燃料計/水温計メーターのセクションはほとんどノータッチなので、故障するとは考えにくい。そこで、メーターに信号を送る燃料タンク内のセンサーが不良と判断して、交換して様子を見ることになった。

燃料センサーの簡単な勉強

燃料計、燃料ゲージ、フューエルゲージ、フューエルメーター、フューエルセンダーユニットと、いろいろな名前があるようだが、ここでは燃料センサーで統一。実物を眺める機会はあまりないので、ここぞとばかりに自動車整備士養成用の教科書を片手にじっくり眺める。

燃料センサー

燃料センサー全体像。左側の黒い部分がフロートで、フロートアームによって、金属ケース内に接続されている。ガソリンが多い場合はフロートが上昇し、燃料計の針がF側に動く。逆にガソリンが少なくなれば、フロートが低下して燃料計の針はE側に動く。さて、液面の変化を電気的な信号に変えるには、どうしたらいいか。

燃料センサー全体

金属ケースを開いて、燃料センサーを改めて見てみる。先の写真とは逆向きになるので、右側にフロートが写っている。フロートから伸びるアームは、金属ケース内にある摺動抵抗の接点へ繋がっていて、接点は上下に動くことができる。

写真では、燃料が減っている状態と同様なので、フロートは下がり、応じて摺動抵抗の接点は上にスライドしている。逆に燃料が満タンに近ければ、フロートは上がっていて、摺動抵抗の接点は下へスライドすることになる。

摺動抵抗

摺動抵抗のアップ。フロートの位置=摺動抵抗の接点の位置が変わることで、燃料計への供給電流が変化し、針が動く仕組みになっている。サーキット等強い横Gを受けると、燃料計の針が派手に動くのは、車体の傾きによって液面が動き回り、フロートが上下するため。

コイル状に巻かれた摺動抵抗体の下側には、赤い電源線が写っている。電源線側に接点が近くなれば、抵抗値も低くなることから、原理的には一種の可変抵抗器となっている。

ウォーニングセンサー

銀色の筒の中にはサーミスタが収められており、これが貧乏ランプ貧乏ランプこと燃料残量警告灯(給油ランプ、燃料残量警告灯とも)のセンサーだ。

センサーがガソリンに浸かっていると、冷やされてサーミスタの抵抗値が高くなり、電流が流れにくくなることから、ランプは点灯しない。ガソリンが減りセンサーが露出すると、ガソリンで冷やされなくなると同時に、自己加熱現象により温度が上がり、抵抗値が減少する。今度は電流が流れやすくなっているので、ランプが点灯する。

やはり車体の傾きにある程度左右されるが、どんな姿勢でもランプが点灯したままになると、いよいよガソリンの残量が残り僅かということ。

交換

カバーオープン

まずは、車外から燃料キャップを開き、燃料タンク内の内圧を外気と同じにしておく。次に、後部座席を取り外してlink、銀色のカバーを開けると、燃料ポンプと燃料センサーの端子部分が露出する。

ナットで固定してあって、パイプが接続されている側が燃料ポンプlink。もう一つ、ハーネスだけが接続されているのが燃料センサーで、交換はこちら側。取り外すには、SST(特殊工具)が必要となっているが、実際はマイナスドライバーとハンマーがあれば、なんとかなってしまう。

リテーナーの脱着方法

こんな具合。燃料センサーのリテーナー(固定金具)の曲げられている部分にマイナスドライバーを当てて、ハンマーで尻から叩くことでリテーナーを回転させる。

化石採掘の考古学者や大工職人の如く、コンコンと叩けば自然とリテーナーが外れる。燃料センサー本体は、若干の知恵の輪状態で燃料タンク内に組み込まれているので、ガソリンを車内に撒き散らしたり、異物を落とさないように注意しつつ、慎重に脱着を行う。取り付けは、取り外しの逆の手順となる。

素足で防爆

気化したガソリンは車内に充満する。そこで静電気が起きれば、爆発して大惨事になる恐れがある。そこで、左足は素足にして車体の鉄板に直接触り、電位差をゼロにしておく。当然、バッテリーのマイナス端子を外すことも忘れずに。

交換完了

交換を終えた燃料センサー。リテーナーは、取り外し時のダメージを考えて新品を使用した。燃料ポンプと燃料センサーのハーネスを接続し、銀色のカバーで蓋をする。後部座席を元に戻し、燃料キャップを閉じれば、作業完了となる。

旧燃料センサー

取り外された燃料センサーは、錆や見た目の損傷は一切なく、思ったよりもきれいだった。燃料計の針が上がらなかった原因は、金属ケース内の摺動抵抗の摩耗と接触不良と思われる。

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 37802-SD2-000  リテーナー,フューエルユニット  237円  1個

Fを振り切った燃料計燃料センサーの交換そのものは10分程度で終わり、トランクの整理や座席の脱着のほうが時間を要した。

作業後の試運転の時点で、燃料計の針が上に動き、正しいと思われる位置を示すようになった。改めて燃料を満タンまで補給したところ、以前より針の動きが明らかに早く、正常にFを振り切ることを確認した。当初の予想どおり、燃料タンク内の燃料センサーがおかしかった。摺動抵抗も結局は機械的な接点なので、長い年月を掛けて摩耗していたようだ。

この先、本格的におかしくなったときには、既に欠品となっている可能性があり、ここで交換したことはいいタイミングだったかもしれない。

走行距離:199,644km

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