製造から25年もの運用で、フロントガラスは無数の打痕が刻まれている。ダンプカーや大型トラックから飛んでくる石だけでなく、酷道や林道といった荒れた路面を好んで走るために、ポジティブに捉えれば長年に渡って走り続けている勲章でもある。
車内側から、フロントガラスを通じて空を撮影。赤い矢印の先に打たれている目立つ黒い点は、全て飛び石による打痕。矢印だらけになるので小さな点は除外し、コントラストを強調して状況を見えやすくしているが。
打痕は限られた撮影範囲内でもこの量で、フロントガラス全体になると前方視界のあちこちに黒い点が入る。フロントワイパーからの線傷、さらには10mm程度のヒビ割れまで入り、車体の老朽化を感じさせる状態になっていた。
Aピラー根元の錆修復に併せて
Aピラー根元の錆修復を依頼する
ことになり、構成する各パネルのコンディションによっては、フロントガラスを外さなければならず、修理期間と手間が増えてしまう原因になる。
そこで最初からフロントガラスの交換も同時依頼することにして、真っ先にフロントガラスを外す。その間にAピラー根元の錆を修復。そして錆修復が終わり次第、新しいフロントガラスを装着してもらうという流れを組み立て、板金工場側の承諾を得る。
フロントガラスの選定
EKシビック用のフロントガラスは、車体の生産が終了してからかなりの年数が経過しているにも関わらず、超格安な中華品を含めて流通量は地味に豊富で助かる。世界各地で行われるシビックレースの影響だろうか。
ホンダ純正部品としてのフロントガラスは、パーツリスト上の参考品番として73111-S03-Z00、73111-S03-900、73111-S03-Z10の3つがヒットしたが、適合型式を含めて完全には把握し切れていないので未調査としている。
そんな中で選んだのが、旭硝子(現AGC)のCool verre
。
肌が弱く、紫外線に対する防御力が低い体質ゆえ、夏場でも長袖が欠かせない。そんな脆弱な肌に、紫外線を約99%カットするとは極めて魅力的。特定波長の赤外線も約90%以上をカットすると謳い、夏場の長距離運転にも良さそう。
そんな背景から、クールベールを選定したい旨を板金工場へ伝えると「手配可能」と返答を得る。公式サイトにはEKシビックの適合情報はなく、さらにグラスピット加盟店でないと交換できないように感じるが、実際は街の板金整備工場でも対応可能なのだろう。
使用終了となるフロントガラスには、HONDAマークが入る。LAMISAFEとAP TECHの表記があり、これはAGC製であることを示す。よってクールベールを使うことで同一の製造メーカーが続くことになり、モノは確かだろう。
EKシビック用クールベールの納期は1ヶ月!
フロントガラス周辺の純正部品類について、2023年10月の時点では供給されている情報を得ている
(thx!!@ucyukurage!!)が、半年以上経過しているので再確認を行う。「良かったね、全部出るよ」とまずは一安心。
最も気になるのが、クールベールの納期。こちらは「(2024年6月時点の)納期は1ヶ月で、なるべく早くするよう伝えるが…」とのこと。交換需要のある車種ではないので、実態は受注生産かつ特注品になるのかもしれない。こればかりは仕方なく、むしろAピラー根元の錆修理に使える日数が増やせるので、ポジティブに捉えることにする。

Aピラー根元の錆修理がスタートし、すぐにフロントガラスが外された。
作業中断の日はフロントガラス部分を段ボールでカバーし、粉塵類が車内へ入ってしまうことを低減する。
交換した純正部品や気になる部分のチェック等
| 1. | AGC | クールベール EKシビック用 | 1個 | |
| 2. | 73125-SR3-000 | ラバーA,フロントウインドシールドダム | 780円 | 1個 |
| 3. | 73128-S47-000 | ラバーB,フロントウインドシールドダム | 1,350円 | 1個 |
| 5. | 73127-S04-000 | シール,フロントウインドシールド | 660円@330円 | 2個 |
| 6. | 73150-S03-013 | モールディング,フロントウインドシールド | 9,050円 | 1個 |
4番のガラスホルダー(73127-SR3-003)、8番のタッピングスクリュー(93903-453J0)、7番のファスナーA(91536-SS0-J01)、9番のファスナーB(91501-S70-003)も出るようだが、手渡された使用部品リストには記載が無かった。これら未記載の部品を使用する場合は、それぞれ2個ずつ発注すること。
フロントガラスとルーフモールが外されたことで、ひび割れの具合が把握しやすくなる。パネルが割れているのではなく、シール材が割れている。錆汁が出ているわけではないため、パネル部分の具合は悪くはないという判断。
左側(助手席側)のルーフモールの溝もチェック。こちらもひび割れを起こしているが、やはりシール材の割れ。パネルそのものは大丈夫とのこと。
使用部品リストには未記載だったファスナーAとファスナーBの様子。接着剤の盛り方から、再使用ではなさそう。
交換完了
Aピラー根元の錆修復はあっという間に終わり、全ての作業が終わるにはフロントガラスの納期次第となった。実際の納期は若干早くなり、一ヶ月にギリギリ到達しなかったようだ。フロントガラスが車体に装着され、接着剤が乾いたタイミングで「作業が完了したので車を取りにきて」と連絡が入る。
柔軟性のある新品モールに交換され、初めて本来の姿を見る。合計25年に渡る運用の中で、洗車機やタオル、ポリシャーで散々磨かれるうちに硬くなり、艶消しの黒だった表面には艶が生じていた。
クールベールにはトップシェード(上部ボカシ)に青い色が入る。賛否両論かもしれないが、ハチマキのような印象と陽射しを和らげる効果があり、もうトップシェード無しには戻れない。
車内からトップシェード部分を見た様子。写真の印象と肉眼の印象ではかなり違いがあるので、参考程度に。
フロントガラスの刻印等。Cool verreやMADE IN JAPANの表記がある。JIS規格に適合していること、Mナンバーからガラスの厚みそのものは純正品と同一になっていることが分かる。
交換後の確認
新品ガラスなので打痕はなく、またワイパー由来の線傷もないため、前方の視界が本当にクリアになった。今まで相当酷い状態で走り回っていたことを実感させられた。
気になる紫外線と赤外線のカット効果。太陽が南中になる11時50分前、最も肌が弱い上腕を直射日光に照らし、続いてフロントガラスを通して照らし、熱感に大きな違いがあることを確認する。クールベールの謳い文句通り、太陽光がフロントガラスを通過する中で紫外線と赤外線が吸収されているようで、あのジリジリと焼けるような感覚が無い。驚異そのもの。
さらに洗車を行って水を掛けて、車内への水漏れが無いことを再確認。こちらも異常は見られず、確実に密着していると判断した。今後の大雨で問題なく走り回ることができる。
〆
傷だらけだったフロントガラスが新品になると、車全体が若返った印象を抱いた。板金工場のメカニック氏も、同じ趣旨の感想を口にしていた。外装部分を大きく占める部分だけに、細かい傷が多いとそれだけ目立ちやすいのかもしれない。
紫外線と赤外線のカット効果は、表皮を通じて実感することができた。この点から肌だけでなく、ダッシュボードをはじめとする内装類の保護にも好影響を及ぼすのではないか。その車に長く乗り続けたいなら、モール類を含めてフロントガラスを一斉交換し、ついでに手入れしにくい部分の錆のケアも行う。総費用はそれなりに達するが、得られる安心感や効果は上々のものばかり。
フロントガラスに貼られている車検ステッカーや点検整備済ステッカーは、一旦剥がしてしまうと貼り付けることができないと思っていた。作業では旧ガラスから剥がされて、新ガラスにそのまま貼られており、小さな疑問が解決した瞬間だった。
走行距離:380,453km