燃料系統のリフレッシュは続く。

毎年の夏場、車体がカンカンに熱くなった状態でエンジンを止めてしばらくすると、微かにガソリンのニオイを感じることがしばしあった。チャコールキャニスターという活性炭入りのタンクが該当部品だが、必ずしもガソリン臭が出るわけではなく、時々なら仕方ないと割り切っていた。

チャコールキャニスターの位置

インテークチューブ上から、覗くようにして見る。クラッチマスターシリンダーの下側に、チャコールキャニスターの上部が少しだけ見える。

チャコールキャニスターの車体装着状態

車体に装着されている状態。手前のホースの背面、黒い円筒形の部品がチャコールキャニスターで、内部には活性炭が詰められている。

活性炭入りの容器=チャコールキャニスターとは?

エンジンが止まっているときにガソリンタンク内で発生したガソリン蒸気(べーパー)は、このチャコールキャニスターに向かい、内部の活性炭に吸着されて貯蔵される。エンジンが動作すると、活性炭に吸着していたガソリン蒸気はエンジン内へ吸い込まれ、混合気と共に燃焼する仕組みになっている。有害で大気汚染の原因になるガソリン蒸気を放出しないようにする公害防止装置であり、車検の点検項目にも含まれている。

EK9用チャコールキャニスター

単体にするとこのような全体像。本体からは計4本のパイプが出ていて、上部に3本、下部は1本となっている。

チャコールキャニスター上部のパイプ状況

上部のパイプを見る。1番はインマニのサージタンクに繋がっており、中にエンジン動作中の負圧によって開く弁がある。EK9は旧い車なので、エンジンの負圧で弁が制御される機械的な動作だが、少し後の時代になると電磁弁による電気制御に変わる。

チャコールキャニスターとインマニのサージタンク接続部分

インマニのサージタンク背面にチューブの接続ピンが出ており、チャコールキャニスターに繋がっている。基本的には負圧となっているためか、チューブの抜け防止用のクリップは使われていない。

チャコールキャニスターとスロットルボディの接続部分

2番はスロットルボディに繋がっている。MAPセンサーの隣にあるホース。

ガソリン蒸気の吸引口

スロットルのバタフライバルブ上部に小さな穴が二つあり、チャコールキャニスターの2番パイプから吸引されたガソリン蒸気は、ここからエンジン内に入っていく。バタフライバルブ表面は、吸引されたガソリン蒸気が当たり続けたことで変色が生じている。

ガソリン蒸気の吸引口

そして3番パイプ。フロア下の配管を経由してリアセクションに入る。燃料タンクの傍らに装着されている2ウェイバルブlinkを介して燃料タンクに接続され、ガソリン蒸気が出入りできるようになっている。

チャコールキャニスター下部のパイプ状況

続いてチャコールキャニスターの下部。こちらは1本のパイプがあり、自由に回転するようになっている。チャコールキャニスター内の活性炭にガソリン蒸気を貯蔵させて圧力を抜き、エンジンが回転すればスムーズに吸い出すための、一種の通気口となっている。分岐ジョイントから大気へ通ずるようになっており、一つはフロア下のパイプ、サブ系統として燃料フィルター付近のチューブに繋がっている。

フロア下のチャコールキャニスターの通気用パイプ

チャコールキャニスターの通気用パイプは、フロア下に装着されている。

燃料フィルター付近にも通気口がある

分岐ジョイントで分かれたもう一本の通気用チューブは、燃料フィルターのすぐ横に装着されている。パーツリスト上でも「サブ」と名前を付けられていたことから、こちらは支流みたいなものかもしれない。

以上、チャコールキャニスターの構造とガソリン蒸気の流れを見てきたが、夏場にガソリン臭がする原因は何か。熱くなったガソリンタンク内のガソリンは蒸発し、高圧のガソリン蒸気としてチャコールキャニスターに流入する。基本的には活性炭に吸着されるが、ガソリン蒸気があまりにも多い場合に、活性炭がカバーしきれなくなり、フロア下や燃料フィルター付近の通気口から、僅かばかり漏れ出てしまうことがある。それがエンジン停止後しばらくすると、微かに感じるガソリン臭の正体だった。

交換

経年による不調防止、長寿命化といった対策のために一括でリフレッシュすることにした。ガソリン蒸気の圧力が掛かる以上、チャコールキャニスターと2ウェイバルブlinkはセットとして捉える。

チャコールキャニスターと2ウェイバルブ

買うだけ買って、保管され続けていた二つの部品。いよいよ装着。

タワーバーとインテークチューブを外す

作業スペースを確保するため、タワーバーやインテークチューブは外しておく。

通気用サブチューブを外す

燃料フィルター横の通気用サブチューブを外す。チャコールキャニスターは後でサブフレーム側へ移動させるため、引っ張られて破損しないようにするための措置。

上部3本のチューブやホースを外す

チャコールキャニスターに繋がる上部3本のチューブやホースを片っ端から外す。

チャコールキャニスターの接続先

燃料系統なので、接続ミスはエンジン不調の原因になってしまう。外したホースやチューブが分からなくならないよう、写真やメモを取っておくことは重要。

一旦サブフレームの上に置く

チャコールキャニスターはパネルに溶接付けされたブラケットにぶら下がっているだけなので、上に引けば抜ける。抜けたら一旦サブフレームの上に置くようにしつつ、下部パイプの先にある分岐ジョイントを外す。

最終関門?分岐ジョイント外し

交換作業の最終関門。分岐ジョイントを外すスペースは僅かしかなく、ピックツールを用いてパイプと分岐ジョイントを切り離す。分岐ジョイントの変色具合から、老朽化して割れやすくなっているので慎重に作業する。

無事にチャコールキャニスターが外れたら、新品へ交換となる。取り外しに比べて、装着は配管系部品を差していくだけなのでさほど時間は掛からず、あっという間に作業が進んでいく。

新品のチャコールキャニスターを装着したところ

ここまでくれば、あと少し。接続するホースやチューブを取り付けて、外していたインテークチューブやタワーバーを戻していく。エンジンを始動させ、アイドリングが安定しているか、ガソリン臭がしないか入念にチェックして異常が無ければ作業完了。

使用パーツ
13.  17300-S04-003  キャニスターASSY.(20PCV)  11,016円  1個  ※
※:2017年9月価格

チャコールキャニスター内の活性炭はどんな姿?

取り外したチャコールキャニスターは、廃棄する前に内部の活性炭をチェックしてみる。弁部分を破壊し、マイナスドライバーを突き刺してみると、ザクザクと砂状の感触があった。

チャコールキャニスター内の活性炭

トレーの上に出してみると、ゴマのような活性炭が次々と出てきた。これがガソリン蒸気を吸着し、エンジンが掛かれば放出しているチャコールキャニスターの本体部分。円筒ケースを切り開き、中の活性炭だけを交換しているレポートは数多く見つかる。

作業が冬だったことで、高温高熱状態での走行後にガソリン臭の有無まではチェックできていない。来シーズンの春以降、しばらくは気にしておきたい。

当初、下部パイプと分岐ジョイントの分離はジャッキアップして、フロア側から行うものと考えており、せっせとジャッキアップしていた。しかしサブフレームがあって全く見えず、さてどうしたものか?と考える。あれこれ試しているうちに、ジャッキアップせずに作業できることが分かり、作業の遅れを取り戻していく。各接続部は簡単に繋がり、すぐに組みあがるので製造工場での組み立てやすさは考慮されていたと考えられる。実際、装着には時間は掛かっておらず、撮影込みで15分も掛かっていなかった。

作業終了後、手元の標準作業点数表を調べたところ、チャコールキャニスターの交換は0.2点と驚きの数値。交換作業よりも、作業の邪魔になる他の部品の脱着のほうが時間を要するのでは…?と思える設定だった。

走行距離:318,758km

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