インジェクターが装着されるフューエルデリバリパイプの一端に、パルセーションダンパーという部品が装着されている。

使い古したパルセーションダンパー

このような部品。燃料ポンプやインジェクターの動作で、燃圧が微妙に変動することがあり、配管の中での脈動現象が起きて、正常な燃料噴射が妨げられて異常燃焼になってしまうことがある。そこでこのパルセーションダンパーを使って、燃圧の振れを防止している。内部には硬いスプリングが組み込まれており、バネの力で脈動減少を抑えている。

燃料系統のリフレッシュはかなり進んだが、パルセーションダンパーについては未着手。プラスチックのキャップが黄色に変色しているだけでなく、どうも油に覆われているような雰囲気になっていることに気づいた。

キャップが割れているだけの状態から…

ただ単にキャップが割れていて、プラスチックの劣化が進んでいるだけかと捉えていたが。

砂に覆われているような?

エンジンルーム内に飛び込んでくる粉塵が付着し、時間の経過と共にその量は増える一方。何かがおかしいと違和感を抱きつつ燃料ポンプを交換するとlink、冒頭の写真の状態へ一気に進む。

油特有のギラギラ感が急に強くなったように思える。ガソリン漏れが起きていないか?と嫌な予感を抱き、さっそく交換することにした。

交換

パルセーションダンパーだけでなく、燃料配管にはガソリンと燃圧が残っている。アイドリング中に燃料ポンプのヒューズを外してエンジンを自然停止させ、配管内のガソリン量を減らして燃圧を下げておく。

パルセーションダンパーは、フューエルデリバリパイプにねじ込まれている。パルセーションダンパー本体を22mmのスパナでゆっくりと回していけば、フューエルデリバリパイプから外すことができる。少なからずガソリンが漏れてくるので、まき散らしたり各ホースに付着させないよう、適当なウエスでカバーする。

パルセーションダンパーを外したところ

パルセーションダンパーとフューエルフィードホースの間には密封だけでなく、位置決めと流量抑制を兼ねたアルミ製のガスケットが装着されている。ガソリン漏れを防ぐため、こちらも新品に交換する。

シーリングワッシャーも交換

さらにもう一枚。フューエルフィードホースとフューエルデリバリパイプの間、シーリングワッシャーも新品にする。

使用パーツ
2.  16680-PE2-003
 16680-PCX-003
 ダンパーASSY.,パルセーション  3,358円  1個  ※1
3.  16705-PD1-003  ガスケット,サイレンサー  156円  1個
36.  90428-PD6-003  ワッシャー,シーリング 12MM  145円  1個
 ※1:全て2016年2月価格

パルセーションダンパーは燃料系統のパーツながら、比較的安価。これは幅広い車種で共通して使われており、量産効果によるもの。軽トラのアクティからオデッセイやアコード、果てはS2000まで同じ部品番号が出てくる。

新品のパルセーションダンパーを装着

新しいガスケットとシーリングワッシャーをフューエルデリバリパイプにセットし、続いてパルセーションダンパーをねじ込んでいく。サービスマニュアルを調べたところでは、締め付けトルクが記載されておらず、基本的には交換しない部分なのだろうか。強く締め付けるとねじ切る恐れがあり、かといって緩い締め付けではガソリン漏れを起こすので、ガスケット類が僅かに潰れていく感触を頼りに締め込んでいく。

交換終了後はいきなりエンジンを掛けるのではなく、イグニッションキーをII(ON、スタータは回さない)にして、燃圧を上昇させておき、パルセーションダンパーとフューエルフィードホース、フューエルデリバリパイプとの各接触部分からガソリン漏れがないか、入念にチェックする。エンジンを始動し、アイドリングが正常に続いているかを確認する。試走では8,400rpmまで回し、燃圧変化によるガソリン漏れが起きていないか、さらに確認。全て異常が無ければ作業完了となる。

取り外したパルセーションダンパーの調査

役目を終えたパルセーションダンパーはそのまま捨てるのではなく、油まみれになっていた理由を調査する。プラスチックのキャップはただ被さっているだけなので、ひねれば外れる。続いてプラスネジを緩めてみる。ネジの変形やOリングに異常がないか、入念に見ていく。

ひび割れだらけのOリング

Oリングの外周部分に、多数のひび割れが見つかった。ネジを緩めた状態でも分かるほどのひび割れで、ねじ込むと広がってしまう。正常であればOリングによるガソリンのシール効果が保たれるが、熱や酸素、圧力の変動といったストレスを受け続けて22年が経過。ゴム部品ではよく見る劣化状況だった。

ひび割れを通じてガソリンが漏れ続け、それがキャップ上で油分のベトベト、ギラギラ感に繋がっていた。気化したガソリンではなく、液状のガソリンが目に見えるほど漏れていた場合、エンジンの熱や静電気で車両火災の原因になっていたかもしれない。22年が経過した旧い車両だけに、燃料系統の劣化は確実に進んでいることがよく分かった。

強固なカシメ加工

外周部分は継ぎ目なく一体でカシメられており、分解不能。ガソリン漏れを意識させる痕跡は見当たらず。

キャップが油でベトベトしていた状態は、パルセーションダンパーから漏れたガソリンによるものだった。ガソリンが発火すれば一気に燃え上がり、爆発する危険性も考えられ、一般人による消火は難しい。旧い車の車両火災は毎年のように発生しており、決して他人事ではない。小さなOリングでガソリンをシールしている構造から、ある程度の年数が経過したら交換し、安全性を確保するのも手段の一つだろう。

特に燃料ポンプがリフレッシュされた現在の状況では、より強力にガソリンが圧送されてくる。その圧力が傷んだOリングにとっては致命傷になりかねず、余計なリスクを回避するなら、燃料系統のリフレッシュは集中的に行ったほうがいいようだ。

使用したパーツはどれも2016年に入手、ストックし続けていた。購入当時と現在の価格差は無いようで、消費税分の差しかない。異変に気付いたら即交換というスピード解決のために、後々交換するだろうと予測できる部品は前もって購入しておくのも、長期維持の観点では有効になってくる。

走行距離:318,758km

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