フロントバンパーを外す度に、助手席側に装着しているウォッシャータンクを目視点検している。今のところヒビ割れからの漏れ、ウォッシャーモーターとの接続部分からの漏れはない。しかし、20年分の洗剤カスと思われる汚れが透けて見えており、ついでにタンクそのものが経年で黄色く変色が始まっていたことから、交換することにした。

ウォッシャータンク

バンパー内側に装着されているウォッシャータンク。写真では分からないが、目視では緑色の洗剤カスが底に溜まっている。場所柄、ウォッシャーモーター用のコネクタには防水のために接点グリスが塗られており、粉塵が付着しやすくなっているため、より汚い印象になっている。

ウォッシャーチューブ由来の擦り傷

ウォッシャーチューブは経年劣化で硬くなっており、しかもいくらか縮んでいる。長さに余裕が無くなったウォッシャーチューブは張り気味になってしまい、フレームに接触し続けた結果、振動でフレームの塗装を削り始めていたことから、同時に交換する。

寿命や耐久性がいまいち分からないウォッシャーモーターについても交換し、後に構造や劣化状況を調査するためのサンプルとして、分解する。

交換パーツについて

現車の状況から、交換するパーツをリストアップしていく。道路運送車両の保安基準上では、ワイパーとウォッシャー液はセットとして扱われるためか、発注した全てパーツはすぐに入手することができた。

使用パーツリスト
2.  38512-SB0-J01
 └(旧:38512-SB0-922)
 モーター,ウォッシャー(ミツバ)  3,250円  1個
6.  38516-SA5-671  パッキン(ミツバ)  145円  1個
16.  76840-S04-013
 └(旧:76840-S04-003)
 タンクセット,ウォッシャー  5,130円  1個
24.  93405-06016-08  ボルトワッシャー,6X16  129円@43円  3個
31.  95003-0700360M  チューブ 07X3M  356円  1個

パーツ図はリアワイパー付のグレードと共通になっていて、リアワイパー用のウォッシャーモーターも描写されている。

No.31のチューブについては、パーツリスト上では920mmの長さに切られているものが設定されているが、現在は3m近くのバルク品になっており、必要な分を自分で切り出して使う。

No.6のパッキンは、親指の爪ほどのサイズの薄いウレタン。接点グリスでグチャグチャになった装着品を再利用するより、交換したほうがいい。

No.16のタンク本体を買えば、ウォッシャーモーターとの接続部分となるNo.7のゴムパッキンは最初からセットされている。別途買う必要なし。

ウォッシャータンクの交換作業

フロントバンパーを外すlinkことからスタートだ。ウォッシャーモーターからハーネスを外すが、接点グリスと付着した粉塵でコネクタのツメが完全に固着していることから、ウォッシャーモーターとタンクの一部を壊して、コネクタを外す。ウォッシャーモーターを再利用、もしくはストックパーツ化するなら、当然ながら壊さないようにコネクタを外すことになる。

装着される側を壊して外したコネクタ類

青丸が壊した部分。右側の未使用コネクタは、他グレードに設定されているリアワイパーのウォッシャーモーター用だ。ハーネスそのものは、全てのグレードで共通品となっているようだ。ハーネスはクリップでウォッシャータンクへ装着されており、これも外しておく。

予めダンパーハウジング部のクリップ部分からチューブを外しておき、作業スペースを確保するため、ヘッドライトも外す(…車体から外すことなく前方にズラすだけでOK)。続いてウォッシャータンク本体の取り外し。ウォッシャータンクは3本のボルトで、車体に装着されている。

フロントバンパービーム付近のボルト

1本目はフロントバンパービーム付近で、手が届きやすい。

レシーバータンク付近のボルト

2本目はエアコンのレシーバータンクのすぐ左側、奥まった位置にある。長いエクステンションバーが必要になる。レシーバータンクに傷やダメージを与えないよう注意。

装着される側を壊して外したコネクタ類

そして3本目のボルトは、ウォッシャー液の注入口近くにある。これら3本のボルトを外すと、車体下部より抜き取るような感じでウォッシャータンクを外すことができる。

新旧のウォッシャータンクの比較

ウォッシャータンクの比較。左がこれから装着する新品、右が取り外した古いもの。古いタンクの底のほうが、うっすらと緑色に染まっており、全て洗剤カス。粘度があり、溶けないままウォッシャーモーターやチューブ、噴射ノズルへ移動してしまうと、詰まりの原因になってしまう。

新旧のウォッシャーモーターの比較

ウォッシャーモーターの比較。左が新品で、若干の形状変更が施されている。右の古いウォッシャーモーターは、ウォッシャー液の流出を防ぐため、ここでは外さない。

チューブのバルク品

新品のチューブはバルク品で、鮮やかなクリアピンク。かといって、社外品のチューブのようなケバさがないのが、純正品の優れたポイントかもしれない。ウォッシャーモーターからダンパーハウジングのL型ジョイントまで使っても、2mは余るので、ボンネット裏側のチューブを交換して使い切っておく。

ボンネット裏側のチューブ、交換

ボンネット裏側のチューブを交換。これら細かいチューブを全て交換しても、67cm程度が余った。

チューブの装着方法について

ウォッシャーモーターから伸びるチューブは、ウォッシャータンクのネック部分に巻きつけるようにして装着することが、サービスマニュアル上で記載されている。ネック部分の根本に、チューブを挟み込む穴が開けられており、しっかりと固定することができる。

チューブはハーネスの下を通す

エンジンルーム内のチューブは、ハーネスの下を通していく。これまたサービスマニュアル上に記載があり、恐らく液モノだけに万一破損した際、ハーネスを伝ってコネクターを濡らし、ショートによるトラブルを起こさないようにするための防御策…と思われる。

新品のウォッシャータンク、装着完了

新しいウォッシャータンクを車体に装着し、チューブやコネクタを取り付けて、ウォッシャー液を注入すればいよいよ動作テストだ。新しいウォッシャーモーターの動作音は静かで、車内では音が聞こえなくなった。噴射ノズルからのウォッシャー液の噴出し方は、以前と変わらず。外していたヘッドライトやバンパーを元に戻し、作業完了。

ウォッシャーモーターの分解調査

本作業に付帯するもう一つの目的として、ウォッシャーモーターの構造と劣化の調査を設定した。さっそく分解し、少しずつ解体していく。ウォッシャーモーターはミツバ外部リンク:株式会社ミツバ製。ケースは柔らかいながらも、厚いプラスチックだ。

ウォッシャーモーター内部のインペラ

底部を切り開くと、インペラがある。写真右側の吸入口からウォッシャー液を吸引し、インペラによって左上に向かう吐出口から押し出される。モーターの軸はDカットされており、空転しないようになっている。洗剤カスにより、エメラルドグリーンに光っている。

ウォッシャーモーターの吸入口

ウォッシャーモーターの吸入口には、20年分の洗剤カスが付着していた。過去何度か、一旦ウォッシャー液を抜き取り、真水を満たして洗浄してきたことで、大量の付着を防ぐことができたようだ。

ウォッシャーモーター内部のブラシ部

ケースを輪切りにする。見慣れたコミュテーターとローターがあり、ミニ四駆や電動RCカーでお馴染み、直流モーターだ。

コミュテーターとブラシの接触具合

コミュテーターにはカーボンが付着しているが、段差磨耗や傷は入っておらず、思ったよりもキレイな状態だ。ブラシについても、派手な磨耗はなく、残量からしてもまだ使えそうな雰囲気だった。

防水はゴムシール一つ

インペラ側からの防水は、オイルレスメタルの次に装着されているゴムシール一つで行われていた。20年以上に渡って、ウォッシャー液と接触し続けながら、モーター側への浸水は全くなし。

ウォッシャーモーターを分解調査した結果、劣化は殆どないと判断した。ウォッシャー液が凍結したまま長時間動作させる(コミュテーターとブラシの焼きつき)、ウォッシャー液が無い状態で長時間動作させる(ゴムシールが乾いて損傷)ようなことをせず丁寧に扱えば、ウォッシャーモーターはかなりの長寿命であることが分かった。

経年によりウォッシャータンクの注入口が歪んでいたらしく、走行中の振動でキャップが自然と開くことがしばしあった。幸い、長いネック状のタンク構造のおかげで、ウォッシャー液が飛び散らずに済んでいた。朝一発目のエンジン始動時にボンネットを開け、キャップが開いていれば締め直すという出発前作業がなくなり、ようやくスムーズに走り出すことができる。

普段の運転では、ウォッシャー液でフロントガラスを洗浄することは少なく、これがウォッシャーモーターのコミュテーターとブラシが殆ど磨耗していなかった要因となる。ウォッシャーモーターを壊さなければ、二度目の交換は考えなくてよさそうだ。

走行距離:282,504km

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