日ごろの点検でボンネットを開けるために、オープナーを引っ張ると、ずいぶんと重たい感触になっていた。以前なら軽い力で開いていたが、ここしばらくは強く引かないと開かなくなっている。
バゴンッと派手な音を立てて、ボンネットは半開きになる。次にボンネットの先端から手を入れて、レバーを動かすことになるが、これがまた硬い…いや、渋い感触だ。指の力だけではレバーが動かなくなっており、手そのものをスライドさせないと、解除することができなくなっていた。
問題のボンネットフードロックは、油汚れと粉塵にまみれている。
風雨が直撃する部分だけあって、20年以上のストレスを負担し続けた結果、ボンネットフードロック(以下、ボンネットロック)の関節部分の潤滑が失われてしまい、スムーズな動きができなくなったようだ。
パーツリストによれば、新品のボンネットロックは高価なものではないことが分かった。単純なグリスアップで潤滑性能を回復させるより、新品に交換してリフレッシュしたほうが、長期使用の点では好都合だ。必要部品が揃ったところで、作業開始となった。
ボンネットロックの交換
ボンネットロックは、アッパーフレームとロアフレームを連結するセンターステーに装着されている。まずはフロントバンパーを外して
、ボンネットロックが見える状態にする。
いきなりボンネットロックを外すのではなく、まず赤い線で示したように、ボンネットロックの周囲の一部を鉛筆やマーカーでなぞり、高さが分かるようにしておく。こうすることで、新しいボンネットロックを装着する際の目標位置になり、装着後の位置調整の手間を減らすことができる。それから青丸のボルトを緩めて、ボンネットロックを外す。
ボンネットロックの装着位置は上下左右に動かすことができて、ボンネットの高さやフレームのズレといった、車体の微妙な個体差に対応できるようになっている。
ボンネットロックの裏側から、ボンネットオープナーケーブルを外す。このとき、黄色い丸で囲ったプラスチックの末端部分がパキッと割れてしまい、ケーブル本体がボンネットロックに固定できなくなってしまった。
内部のワイヤーは繋がったままなので、ボンネットの開閉そのものは可能。しかし、バンパーのグリル部分から棒を突っ込んでケーブルを引っ張ると、ボンネットが開いてしまうという、セキュリティに重大な支障が出ることになった。
プラスチックの素材が悪く、接着剤は効かない。そして接着液がケーブル内部へ入ってしまうと、ワイヤーが接着されてしまう恐れもある。このまま放置するわけにはいかず、急遽ボンネットオープナーケーブルを追加交換することになった。
ボンネットオープナーケーブルの交換
2007年の納車直後に、ディーラーでの作業中に内部のワイヤーが切れてしまい、補償交換を行っている。そんな過去の経験と、車内側のノブが割れたという情報から、非常に壊れやすい部品と捉えて、ボンネットオープナーケーブルは常にストックしていたことが、ここで役に立つことになった。
運転席から見て、右足元にあるカバーを外してボンネットオープナーケーブルを外す。手をつける前に、ケーブルがどのように配置されているかチェックすると、赤矢印の筒状部品が折れていることを発見した。ケーブルをABSコンピュータの裏側へ無理に通したことで、割れたようだ。ホンダベルノ○○○店(旧名称)の装着ミス…。
車外側では、インナーフェンダーのクリップを外して、
フェンダーアーチとタイヤの隙間から、ケーブルの取り回し状況をチェックしておく。
再び車内側。ABSコンピュータを外してケーブルを辿っていくと、ハーネスの裏側に隠れるようにして、青丸で囲った部分にグロメットを発見。ボンネットオープナーケーブルは、このグロメットを介してフレームの外側を通る。赤矢印は、割れているケーブルの筒状部品。
右側のサイドウインカーを外し、取り付け穴からフェンダー内部を覗くと、ボンネットオープナーケーブルのグロメットがちょうどいい位置に見える。このグロメットをフレームから外し、ケーブル全体を車内側に引っ張ることで、車体から取り外すことができる。
新しいボンネットオープナーケーブルは、車内側から差し込むようにして取り付けていく。フロントアッパーメンバー(フェンダー内側のフレーム)の外側を通ったケーブルは、ヘッドライト裏側の貫通穴を経由し、
ハーネスに装着されている専用のクリップに銜え込まれ、ようやくボンネットロックに到達する。
取り外していたABSコンピュータを装着してから、ボンネットオープナーケーブルを装着する(ボルトの締め付けトルクは9.8N・m、1.0kgf・m)。ABSコンピュータ用のフレームの外側を通るのが正規で、部品形状もそのような装着方法になるように配慮されていることが分かった。
ボンネットロックにボンネットオープナーケーブルをセットし、センターステーへ取り付ければ(ボルトの締め付けトルクは9.8N・m、1.0kgf・m)、交換作業そのものは終了となる。ボンネットロックの形状は変わらないが、前面部分の殆どがプラスチック製のカバーで覆われている。関節部分へ風雨が直撃しにくくなり、潤滑性能の維持と耐久性の向上が期待できそうだ。
ボンネットを閉じた際、ボンネットロックとボンネットストライカが強く接触していないか、エンジンが動いているときにビビリ音が発生していないか入念にチェックし、異常が無ければ外していたインナーフェンダーやフロントバンパーを装着して、作業完了となる。
アッパーフレームから見える新品のボンネットロックの様子。左側のボルト付近に見える茶色い塊は、詰め込まれたグリス。軽やかな操作性に戻っただけでなく、新品特有の明るい銀色になったことで、見た目の印象まで良くなった。
| 1. | 90654-SA4-003 | クリップ,ワイヤーハーネス 6MM(ホワイト) | 387円@129円 | 3個 |
| 5. | 74120-S04-505 |
ロックASSY.,ボンネット(トウヨウシャ) | 2,592円 | 1個 |
| 6. | 74130-S04-E01ZA |
ワイヤーASSY.,ボンネット*NH1L* | 2,818円 | 1個 |
| 23. | 93401-0601608 | ボルトワッシャー,6X16 | 74円@37円 | 2個 |
| 24. | 93405-0601604 | ボルトワッシャー,6X16 | 129円@43円 | 3個 |
5番がボンネットロック。前期型(E-)と後期型(GF-)では部品番号が異なる点に注意。完全に裏を取ったわけではないので明言できないが、後期型では芳しくない答えが返ってくるようだ。しかし、後期型から前期型へのフェイスリフト、もしくはその逆を行った場合、ボンネットロックを交換していない点からして、流用が効くのかもしれない。
〆
当初の予定ではボンネットロックのみの交換だったが、ボンネットオープナーケーブルの破損による追加交換で、一括リフレッシュとなった。同時に過去のディーラーのミスも発見することになったが、人間はミスをするもの。限られた時間でよくやってくれた点や、ケーブルの正しい取り回し方法が明らかになった点を踏まえれば、プラスになる情報が多く得られた。
ボンネットを開くまでの一連の動きが非常に軽やかに、正確には本来の軽い動きに戻った。今まではバゴンッと大きな音が鳴り、重い引き心地の室内側ノブだったが、リフレッシュ後はカコンッと軽い音に変化し、指先に力を入れなくともノブが動かせる。
可動部分の動きが良くなり、ケーブルが正規の配置方法に戻ったことで、スムーズな動きから内部ワイヤーへの負担低減に繋がり、耐久性も維持することができる。これで切れやすい、壊れやすいというネガティブなイメージを払拭できるか。
交換作業中にボンネットオープナーケーブルの末端部分が割れるとは思っておらず、作業は中断。遅い時間帯から作業を開始して、破損トラブルを対処する余裕がなくなってしまい、新品のボンネットロックと割れたボンネットオープナーケーブルの組み合わせのまま、年越しとなった。
ストックしていたボンネットオープナーケーブルの明細が行方不明で、購入当時の価格が分からなくなった。レポート内に記述した価格は、再ストック用にボンネットオープナーケーブルを買い直した、2019年1月現在の価格となる。
走行距離:281,681km