乗ってきた歴代の車全てに「バキュームメーター(負圧計)(以下、バキュームメーターで統一)」を必ずつけていた。ターボ車でおなじみ、ブーストメーターみたいなもので、アクセルの動きに合わせて敏感に針が動く。一部機種を除いて最大値は0kPaとなっているものの、タコメーターに次いで針が派手に動くから見ていてやっぱり面白い。これを使うことで、エンジンの調子を見ることが可能だ。
もちろん、今のシビックRもバキュームメーターをつけており、A'PEXi V-AFCIIをバキュームメーターとして使っている。ECUとMAPセンサーを繋ぐ信号線を分岐させ、V-AFCIIにも負圧状況を読み取らせることで、負圧を表示する仕組み。ハイカムとローカムの切り替え回転数を変更したり、その変更に応じて燃料補正も可能という、典型的VTECコントローラーだが、VTEC関係の変更は一切行っていない。
普段はアナログ表示としているが、このように数値だけのデジタル表示することが可能。具体的な数値が読む必要があるときは、デジタル表示に切り替える。
大森メーターを思い出せ
説明書には、表示される負圧状況についての基準値等の詳細文は一切ない。そこで、かつて使用していた大森メーター製バキュームメーターの説明書を引っ張り出し、基準値として参照する。
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◆アイドリング回転の時、40~60cmHgを示し、指針が動かず安定していればエンジンは良好です。
◆アクセルを急に踏み込むと指針はゼロ付近を示し、その後アクセルを離した時、55cmHg以上の時は正常です。この値が高い程エンジンの調子が良好です。
◆アイドリング回転の時、バキューム圧が低すぎたり、又指針が不安定な時は点火系や燃料系の故障・吸気バルブの洩れ、ピストンリングの漏れ等が原因ですから、エンジンを点検して下さい。
◆走行中、指針がアクセル操作に敏感に反応しますが、40~60cmHgの範囲で指針を安定させ、加速時には30cmHg以下にアクセル操作すると大幅に燃費が良くなります。
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とのことで、調べた限りでは、明確な値が表示されている唯一の説明文だった。値が「cmHg」となっている点と、マイナス表記が無い点に注意するとして。
cmHgとは水銀柱センチメートルと読む。A'PEXi V-AFCIIの場合は「kPa」表記で、単位が違えば数値も違ってくる。cmHgからkPaになっているのは、SI単位の表示義務化の関係。おかげで最近のモデルは、全てkPa表記に統一されている。
マイナス表記が無い点は、ある意味「漢の大森メーター」らしさ抜群というか…。実際はマイナスをつけないと正圧、つまりブースト圧になってしまう。当然、ここではしっかりとマイナス表記を行う。今回は大森メーターの説明文を鵜呑みにして、エンジンの調子を調べてみた。
サンプル採取
まず数値のサンプルを採らなければならない。走り回って十分にエンジンを温め、しばらくアイドリングして落ち着いたときの数値を記録した。
負圧はオイルによって大きく左右されるようで、高粘度オイル、また新品オイルのほうが負圧が高くなる傾向がある。サンプル採取時のオイルは、ホンダウルトラMILD(5W-30)。交換から2,800km走行、サーキットは1回(30分)、10km未満の街乗りが大半、高速道路走行もあり。
計算と調査
バキュームメーターの単位はkPa(キロパスカル)から、大森メーターの説明書きのcmHg(水銀柱センチメートル)に換算する。換算率を1kPa=7.5mmHgとして、それぞれを当てはめればいい。つまり、7.5をかけるだけ。バキュームメーターの数値は-73なので、-73×7.5=-547.5(mmHg)となり、cmHgに直して小数点以下は切り捨てる。結果、-54cmHgとなって、ようやく大森メーターの説明書きを読むことができる。
◆アイドリング時に-40~-60cmHgで、指針が安定。
-->54cmHgなので、圧力は良好。デジタルメーターなので、指針は細かく振れるが、大きくは振れていない。
◆ブリッピングして、指針はゼロ付近を示し、かつ、-55cmHg以上に戻る。
-->極めて良好。アクセル急に踏み込むと0kPaで、戻すと表示上では-80kPaまで達する。
◆エコランとして、-40~-60cmHgの範囲で指針を安定させ、加速時は-30cmHg以下を維持。
-->cmHgをmmHgに直して、そこに0.133をかければkPa値が出る。やはり小数点は切り捨てる。
-->-53~-79kPaの範囲で指針を安定させ、加速は-39kPa以下を維持。
-->巡航中はなるべく指針(アクセル)を動かさず、加速上限は-39kPaとなる。
エコランの計算で驚いたのが、このシビックRでは極普通の運転方法だったことだ。街乗りでも、カタログ値である13km/Lが簡単に出る理由が何となく分かった。-39kPaの加速はのんびりしたものだが、これ以上加速力を強めてしまうと、今度はシフトチェンジが忙しくなる。加速がいいか悪いかは車の性格もあって無視できる要素だし、道路の流れに乗ってしまえばいい話だ。
結果は良好か
サンプルとして採取したシビックRのエンジン状況は、ひとまず良好ということが分かった。総走行距離に応じて、多少は数値が落ちているようだが、当分は頑張れるエンジンと判断できそう。バルブの開閉不良や、ピストンの異常磨耗による吹き抜け等、トラブルが発生すると負圧が作り出せず、数値は上がっていく。
視覚的に察知できるので、迅速な対処ができるかもしれない。指針で良否を判断なんて、まさに健康管理だ。バキュームメーターは、標高によって数値が大幅に変化する。そして重要なのは、この例は参考程度にとどめておくこと。エンジンによって、全ての数値が異なってくるので。
A'PEXi V-AFCIIの取扱説明書を読んでいたところ、バキュームメーターの値設定にmmHgがあることが表記されていた。デフォルト設定がkPaらしく、全く気がつかなかった。mmHgに切り替えると、-547mmHgと表示された。スケール値が0~-760mmHgで、非SI単位に慣れているのならば、こちらを使ったほうが分かりやすいかもしれない。