月まで残り3分の1の距離に達し、現在も引き続き順調に総走行距離を重ね続けている。ラインオフしてから既に19年6ヶ月が経過したところで、不具合を起こすことなく稼働し続けているのがセルモーターだ。タイミング的に壊れても不思議ではないが、この先も毎日運転することから、いざ壊れると生活サイクルが成り立たなくなり、非常に困る。というわけで、故障して動けなくなることを防ぐため、セルモーターを交換することにした。

リビルト品を手配する

補機類はリビルト品が存在し、新品純正に比べて安価に購入できるが、入手は少々厄介な代物だったりする。よくあるのが、整備工場やディーラーといった法人取引のみで、対個人の取引は行っていないパターンだ。いわゆるプロ向けリビルト品になると、整備工場やディーラーを通じてリビルト会社への部品在庫確認、在庫状況に応じた整備日の調整を行わなければならず、意外と時間を要してしまう。

今回は有限会社大光サービス有限会社大光サービス外部リンク:有限会社大光サービスを通じてリビルト品を入手した。このレポートを作成した2017年当時は対個人でも取り引きを行っていたが、現在は販売方針が変わったのか、大光サービスが推奨する整備工場やディーラーを通じた販売パターンになっている。

現車からセルモーターを外してしまうと、返却されるまで動けなくなる。そこでEK9シビックRの廃車から外された中古のセルモーターを入手しておき、これをリビルト用コアとして使い、予め有限会社大光サービスにリビルトを依頼する。リビルト済みセルモーターが戻ってきて、手元に置いておけば、好きなタイミングで交換作業を行えるようになり、当日中に終わらせることができる。

リビルト済みEK9用セルモーター

使うのがもったいないほど、キレイになったリビルト済みのセルモーターASSY。問い合わせメールのレスポンスが凄まじく速く、現物修理という対応ながら、コアが同社に到着した翌日には仕上がって返送手続きに入るほど、超高速ペースで事前手配プロセスを終わらせることができた(T様、M様、ありがとうございます!)。

交換は、キリ良く月まで残り3分の1を越えたタイミングで行い、これからの13万キロの行程をリビルト品に支えてもらうことにした。リビルト品を手配した2017年9月の時点では、3分の2地点となる256,266kmまで達しておらず、少しだけ先延ばしすることになった。

交換

2017年11月、256,266kmを突破し、いよいよセルモーターの交換を行う。運転直後ならエンジンを冷やしておき、ケガや感電を防ぐため、必ずバッテリーのマイナス端子を外してから作業に入る。

いろいろ外す

タワーバー、エアクリーナーボックス、エアフロチューブを外し、上からミッションが眺められるようになると、セルモーターASSYが見える。写真中央部分の円筒形の物体が、セルモーターASSYだ。

ハーネスを外す

電源用ハーネスを外していく。赤矢印の端子は、12mmのナットで固定されている。被さっている黒いキャップは経年劣化で硬く、千切れやすい。青矢印の端子は、圧着端子で刺さっているだけなので、コードを切らないようにして引き抜く。

ブラケットと短ボルトを外す

ハーネスを固定するブラケットのボルト(紫色の丸)を外しておき、セルモーター固定用の一本目のボルト(赤色丸)を外す。こちらのボルトは短いので、すぐに抜くことができる。

長ボルトを外す

セルモーター固定用の二本目のボルトは、モーター背面の少々見えにくい部分にある。ミッションを貫通してエンジンブロックで締められるため、長いボルトとなっている。すぐ近くにクラッチ用の油圧パイプが配置されていて、工具によっては当たってしまう恐れがあり、曲げや傷などのダメージを与えないよう、注意を要する部分。二本のボルトを抜けば、セルモーターを車体から取り外すことができる。

新旧比較

左がたった今外された古いセルモーターで、黒い塊と化している。フライホイールと噛み合うギア部分に至っては、クラッチから削れ落ちたフェーシング材が大量に付着しており、撒き散らさないよう慎重に扱う。右がこれから取り付ける、リビルト済みのセルモーター。

銘板チェック

サプライヤーは株式会社ミツバ。ミツバ製のセルモーターといえば、2000年初頭のアコードやオデッセイにおいて、始動不良に陥る例が散見される。写真上部にあるモーター部分の不良ではなく、下部にあるマグネットスイッチ内部の部品が割れてしまうことが動作不良の原因で、形状は違えど近い年代のセルモーターは内部部品が共通とのことで、不具合が起きる前に交換して正解だった。

リビルト済みセルモーターを装着

リビルト済みのセルモーターを装着する。固定用の長短ボルトは新品を使い、締め付けトルクは44N・m(4.5kgf・m)。二本のケーブルを確実に装着し、外していたエアクリーナー、エアフロチューブ、タワーバーを取り付けていく。忘れ物が無いことを確認したら、バッテリーのマイナス端子を接続して始動テストを行い、異常がなければ作業終了となる。

33.  95701-1004008  ボルト,フランジ 10X40  59円  1個  
36.  95701-1010508  ボルト,フランジ 10X105  118円  1個  

使い古したセルモーターよりも回転音が目立つようになっており、B型エンジンの特有の甲高い始動音がより印象強くなっている。始動性はこれまでと全く変わらず、すぐにエンジンが動き出す。モーター本体の回転音からして、内部のベアリングがリフレッシュされ、スムーズに回れるようになっていることも実感することができた。

検証

取り外したセルモーターは、劣化状況を調査するため、さっそく腑分けを行う。

分解手順

ハウジングからモーター部分を取り外すため、ナットやボルトを緩めていく。まずは白丸のマグネットスイッチの端子からモーター用電源ケーブルを外し、次に黄色丸の長いボルトを外すと、モーター部分がハウジングから抜き取ることができて、モーターカンと裏蓋まで一気に分解できる。水色丸はブラシホルダーの固定用ビスで、最後に外す。

モーターカン内部

カーボンまみれになっている、モーターカン。強力な永久磁石が6個固定されており、はやい話がミニ四駆のモーターと同じ原理の、直流電動機だ。

ブラシホルダー

裏蓋からブラシホルダーを外し、ブラシの残量をチェックする。標準値15.8~16.2mmに対し、測定値は12mm程度。限度値は11mmなので、残り1mm。限度値を下回っても、すぐにダメになるようなことはないだろうが、ちょうど良い交換タイミングだったことが分かって一安心した。四本のブラシがあり、AとBがプラス側、CとDがマイナス側となっている。

コミュテーターの状態

コミュテーターは段付摩耗等は起きておらず、回転方向へ削れたカーボンが軽く付着している程度だ。外径の標準値が28.0~28.1mmで、測定値は28mmだったことから、正常範囲内に留まっている。ただ、シャフトの前後にあるベアリングは、グリス切れ特有のカラカラした感触が若干あり、劣化が進んでいたことは間違いない。

組み立て時のブラシ保持方法

検証が終わったら、すぐには処分せずに再度組み立てておき、一旦保管しておく。分解の逆手順を進めば組み立てられるが、保持用スプリングでブラシが押し出されてしまい、コミュテーターが入らなくなってしまう。写真のように、保持用スプリングでブラシの側面で押さえておき、コミュテーターが正しい位置に入ったらブラシを押し込んでセットする。ブラシは軟らかく、工具の接触やちょっとした衝撃で破損することがある。

マグネットスイッチ

モーターのすぐ横にある円筒形部品が、マグネットスイッチ。先述したように、内部部品が割れて動作不良に陥ることがあるそうだ。その他、イグニッションキースイッチ側で接触不良が起きると、内部コイルが導通しっぱなしになって接点が溶着、これまた動作不良に陥るパターンも存在する。残念ながら非分解構造で、内部調査は破壊しないと不可能。マグネットスイッチ単体で部品が設定されていることから、バラしてまで修理することは考えられていないと思われる。

作業は写真撮影しながらでも、一時間程度で終了となった。マグネットスイッチ内部の破損例を教えられ、交換後の検証作業においては、交換タイミングがばっちりだったことが判明したことから、無交換では384,400kmまで耐えられなかった可能性があった。リビルトセルモーターの保証期間は2年、40,000kmのいずれか早いほうと長く設定されている点は大きな特長で、安心して使い込むことができる。

走行距離:256,919km

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