使用中のダンパーASSY(ショックアブソーバ)は、2018年10月13日に交換したもの。使い古して抜けてしまった純正ダンパーから、50,000kmで外された純正ダンパーに入れ替えている。

EK9用純正サス

50,000kmで外された純正ダンパーは、BRZで快適生活(旧、EK9で快適生活)外部リンク:BRZで快適生活さんから譲っていただいた。Mail BOXlinkに含まれていたダンパーASSYは一旦分解し、構造勉強と各マウントゴムのリフレッシュを兼ねて、構成部品を新品に交換してから装着した。

しっかり磨いて、組み立て待ち

組み立て待ちのリアダンパーASSY。パーツクリーナーで徹底的に磨き込み、見た目も良くしていく。

新旧比較

フロントダンパーASSYについても、構成部品交換と磨き込みでリフレッシュ完了。

交換当時は276,231kmで、現在まで約56,000kmを走行。距離としては短くとも経過年数によるストレスは回避できず、2020年の晩秋あたりからギコギコと異音が鳴り、高速道路のジャンクションのカーブや峠道では、安定したロールにならずフラフラとした挙動になってしまうことが増えた。これらショックの抜けの症状が再び出るようになったことで、ダンパー交換計画を立てる。

エナペタルにオーダーを出す

以上、長かったあらすじから、いよいよ本題。フロントは2回、リアに至っては3回も純正サスに拘って交換し続けてきた理由が、車の使用用途にピッタリな性能だったため。

  1. 一日の最大走行距離は1,500km。500km程度の移動距離は散歩感覚。

  2. 高速道路は飛ばさず、淡々と走る。気が付けば2時間近く走りっぱなしはザラ。

  3. ワインディングロードを軽快に走ることを好む。

  4. 酷道や林道といった荒れた道を走り回る。

  5. その一方で、実は通勤や送迎といったシビアコンディション運用が主体。

このような具合。純正新品の在庫があれば即発注しているが、それは不可能。上記使用用途を満足できる純正ダンパー相当のものが入手できないか?と考えた結果、「ビルシュタインのパーツで作製してくれるエナペタル外部リンク:エナペタルに依頼する」として、オーダーを出すことに決める。

エナペタルとの打ち合わせでは、車の走らせ方と使い方を問われる。先に書いた用途を告げると、一瞬言葉に詰まりながら返答していたのが印象的で、想定されるEK9のキャラクター像とは全く違っていたのだろう。その他、サーキット走行は止めたので減衰力は硬くせず、純正相当を希望する。スプリングは純正品を使う。車高は下げない…といったことも併せて連絡しておく。

打ち合わせを経て、見積もりが出て正式発注確定。問い合わせはメールと電話の両方となり、共にレスポンスが早くて、余計な待ち時間が掛からなかったことは本当に嬉しかった。

エナペタル製ビルシュタイン

発注から一週間ほどで憧れのビル足、一台分のEB5CNダンパーがついに到着した。左がフロント用、右がリア用。ダンパー本体のカラーリング変更も可能。当初はビルシュタインらしい黄色でオーダーを出していたが、なるべくシンプルに仕上げて目立たせたくはないという考えから、急遽黒に変更した。

フロント側構成部品

ダストブーツ等の構成部品をチェックする。まずはフロント側。ダストカバーやバンプラバー、ワッシャーが付属しているので、改めて純正部品を買う必要はない。ピストンロッドは純正品よりも太くなっている。

Cリングによる車高調正機能

Cリングによる車高調正も可能。純正仕様と同じ高さになる位置から、上下5mm間隔で変更可能となっている。車高は現状を維持するので、ここは触ることなくそのまま使う。

リア側構成部品

続いてリア側もチェックする。ダストカバーは蛇腹状のものがセットされている。フロントと同様、バンプラバーやワッシャーが付属している。ピストンロッドは純正品よりも太い。

車高調正はCリング式

こちらもCリングによる車高調正機能は健在。溝の間隔は上下5mmずつ。車高は変更しないので、セットされた純正位置で使用する。

ダンパーの保管方法

到着してから実作業日はしばらく先になることから、クローゼット内でしばらく保管することになった。保管方法まで問い合わせて「縦の状態で保管することを推奨する」と返答を得る。エナペタルのサポート担当者様は、こういった些細な疑問でもすぐに答えてくれた。

リア側ビル足を装着する

作業はリア側ダンパーの交換から着手。タイヤを外し、ジャッキアップして車体にリジットラックを掛ける。

リアサスペンションの分解中のワンシーン

ロアアームからスタビライザーリンクを外し、さらにトレーリングアームと切り離す。

リアスピーカーの取り付け部分より

同時にリアスピーカーを外し、取り付け部の穴から覗き込めば、リアダンパーASSYの固定部分が見える。300mmのエクステンションバーを使うとちょうどいい。以上でダンパーASSYを車体から外すことができて、リア側は困難な工程は特になし。作業開始から終了まで、一時間半ほど。

リア側ダンパーASSYを組み立てる

新旧比較。車高に直接影響が出てくるダンパーASSYの全長を見比べるため、両側を一気にバラして組み立てず、片側ずつ作業する。アッパーマウントは全て新品に交換し、スプリングは純正品を移植した。水色のダストカバーが非常に鮮やか。取り外した純正ダンパーは、下取りとしてエナペタルに返送する。

車載ジャッキを使って1G締め

車載ジャッキをロアアームに掛けて1Gの環境を作り出し、それからボルトを規定トルクで締めていく。ボルトやナット類は分解時交換部品に指定されているので、全て新品に交換した。

リア用ビル足を装着

リア側のビル足装着完了。黒いダンパーながら、スプリングシートやビルシュタインのステッカーから、すぐに社外品と判別できる。思った以上に派手な仕上がり。

パーツリストその1
3.  51728-SB0-003  カラー,ダンパーマウンティング  748円@374円  2個
7.  52675-SH3-024  ベース,リヤーダンパーマウンティング(ショウワ)  4,708円@2,354円  2個
8.  52686-SR3-003  ラバー,リヤースプリングマウンティング(ショウワ)  2,882円@1,441円  2個
14.  90173-SR3-003  ボルト,ロアーアーム 10X80  946円@473円  2個
15.  90304-SR3-014  ナット,フランジ 10MM(オオハシ)  528円@132円  4個
17.  51631-SL0-901  ラバー,ダンパーマウンティング(ヤマシタ)  2,816円@704円  4個

アッパーマウントに関係する部品は全て純正品を使用した。サスチューニングに伴うダンパー交換の場面では、リフレッシュついでに交換されるためか、注文したパーツは問題なく揃えることができた。

パーツリストその2
27.  90173-SR3-003  ボルト,ロアーアーム 10X80  946円@473円  2個
38.  90002-S10-000  ナット,フランジ 10MM  296円@148円  2個

ロアアームに関連するボルトやナットも全て新品に交換している。

フロント側ビル足を装着する

続いてフロント側の作業となる。タイヤを外し、車体をジャッキアップしてリジットラックを掛けることは変わらず。

ダンパーフォークの取り外し、完了

スムーズに外すため、ダンパーフォークとダンパーASSYは予め分離しておく。

アッパー側はナット二つ

続いてアッパーマウントの二つのナットを外せば、車体からダンパーASSYがもう外せる。「え?これだけっすか?」と声が上がったが、実際その通り。

ダンパーフォーク用ブラケットの移植アナウンス

画像はエナペタル公式Webサイト外部リンク:エナペタルより引用。シビック用EB5CNは、ダンパーフォークの位置決め用ブラケットを移植する必要があり、この工程は少々懸念を抱いていた。補修用部品は設定されていないので、ブラケットの単体購入はできない。エナペタルからもこの部分については、工場での事前移植は不可と返答を得ている。

パーツリスト上にも補修部品設定無し

パーツリスト上でも、問題のブラケットは装着された状態で描かれており、部品番号を示す参照ナンバーは一切記載されていない。補修用部品として供給があれば、間違いなく購入して予め装着していただろう。

ブラケットは圧入されている

現物のブラケット。タガネや貫通マイナスドライバーを使って叩き外せるような装着状況ではなく、ガッチリと圧入されており、生半可な力では取り外すことはできない。

ギアプーラーを使ってブラケットを抜く

そこで用意したのが、3本爪式のギアプーラー。ブラケットに爪を掛けて、ネジを締め込んでいくとズルズルと動き始め、無事に抜き取ることができた。ブラケットの装着はダンパーフォークを使って、少しずつ叩き込んでいく。

新旧比較

フロント側も片方ずつ組み立てて、外したブラケットの位置や全長を純正品と比較、入念にチェックする。異常がなければ、いよいよ車体に装着する。

フロント側にもビル足を組み込んだ

フロントにビル足をセットし終えたところ。ブラケットの移植工程で作業時間は若干長くなり、二時間ほど要した。

パーツリストその3
7.  51675-SR0-004  ベース,フロントダンパーマウンティング(ショウワ)  3,630円@1,815円  2個
9.  51686-SR3-003  ラバー,スプリングマウンティング(ショウワ)  2,706円@1,353円  2個
12.  51728-SB0-004  カラー,ダンパーマウンティング(ショウワ)  440円@220円  2個
15.  90304-SR3-014  ナット,フランジ10MM(オオハシ)  528円@132円  4個
16.  51631-SL0-901  ラバー,ダンパーマウンティング(ヤマシタ)  2,816円@704円  4個

リア側の構成部品と同様、注文したものは全て揃えることができた。

パーツリストその4
15.  90120-SB0-003  ボルト,ダンパーロック 10X42  506円@253円  2個
17.  90183-SH3-000  ボルト,フランジ 12X115  1,166円@583円  2個
19.  90215-SB0-003  ナット,セルフロック 12MM(サトウラシ)(カシメ)  506円@253円  2個

ダンパーフォークとロアアームを一旦切り離す工程から、ボルトやナットは全て新品に交換している。

試走

前後のダンパーを組み終えたら、いよいよ走り出す。一般道、高速道路、ワインディングロードと三ヶ所それぞれでチェックすることになった。

一般道

一般道では硬くなったフィーリングになったことが体感できつつも、サスペンションの動きは阻害していないといった印象で、極端な乗り心地の悪化にはなっていない。想定していたよりもいい乗り心地だ。

一般道を走る

エナペタルへのオーダーでは、純正品に近い減衰力の希望を出し、提示されたセッティングは「乗り心地重視に設定」。身に覚えのある乗り心地が、高速走行用の台車を履いたJR西日本の新幹線、500系/700系B編成だった。ちなみに、写真のような馬車は軽車両扱いとなるので、公道を『走行(歩行?)』することは何ら問題はない。

イギリスに在住していた支援者Y氏に言わせれば「あっち(イギリス)で乗った車に近いっすね。ヨーロッパ的な」とのことなので、不快な突き上げをするダンパーではないようだ。さらに、ダンパー交換したことを告げぬまま他人を乗せてみたところ、乗り心地の悪化を感じさせ、違和感を抱かせるようなことは一切なかった。想定以上の仕上がりになっている。

高速道路

クラウザー・ドマニと共に高速道路を走る

高速道路ではスピードが上がっている分、継ぎ目では硬さを感じ、路面状況によっては突き上げるような印象も抱くようになる。

大きな変化として、減衰機能が戻ったことでユラユラと振られ続ける不快な挙動が一切無くなり、700km以上を走っても疲労感は明らかに減った。車線変更では、ステアリングを操作すると変なロールはせずに車体がクイックに動くようになり、レスポンスが良くなっていることが分かる。ジャンクションのカーブでは不安を抱くロールが無くなり、ちょっとした旋回でもグイグイと曲がれて楽しい。

ワインディングロード

R299麦草峠目前

いよいよワインディングロードに突入。カーブに入ると滑らかにロールしていき、一定の姿勢を保ったまま旋回することができる。減速、旋回、再加速の三拍子をリズミカルに行うことができて、ワンテンポ上の軽快な走りに変わっており、峠道がここまで楽しいものなのかと改めて実感させられることになった。

これまではカーブ内での急激なロールに見舞われ、そこにフラフラしてしまう挙動が唐突に出て、ヒヤヒヤさせられる部分もあった。カーブ内での不安感を抱かせない挙動は、運転時の余裕にも繋がる。

酷道での荒れた道においては、突き上げ感を抱く(いわゆるパッツン)硬さではない。段差や石を乗り越えるときは、急激にダンパーが縮む。ダンパーのストロークスピードが早くなるシーンにおいては、逆に各サスアームの動きを阻害しないようにするのか、意外と走りやすかった。

社外品のダンパーといえば、路面の凹凸を拾うのと同時に、…ドン!…ガン!と衝撃音を伴いつつ、シートからケツが浮くほどの下品な硬さや、ポンポンと収まり悪く跳ね回ってしまうようなイメージがあった。そういったボディを痛めつけるような硬さは感じられないことに、一安心している。

EK9というスポーツモデルの特性から、市販されている商品は減衰力を高め、車高は基本的に下げ方向、多少鳴る動作音は割り切る…といったものが多い。街乗りがメインで荒れた道を走ることから、スポーツ走行を視野に入れたダンパーを選ぶわけにはいかなかった。むやみやたらに硬いサスに仕上げた結果、モノコックを破損した事例を目の当たりにしている影響もある。

気になる価格は一台分で148,000円となり、フロント側は74,000円、リア側も74,000円となっている。そこにリアダンパーASSYの下取りに伴う保証金として53,600円が追加され、こちらについてはダンパーを返送して異常がなければ返金される。

純正形状かつ、車の走らせ方に応じたオーダー方式となるエナペタル製ビルシュタインは、抜けが発覚する2020年よりも前から視野に入っていた。予算確保やオーダーパターンの見極め、交換パーツの発注等々、下準備は数多く。望むようなフィーリングのダンパーに仕上がり、長かった準備期間が報われた。

走行距離:333,227km

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