仕事先では故障に備えて、様々なリレーを定期的に交換している。外されたリレーは廃棄することになるが、その前に分解して内部を調べると、接点の開閉に伴うスパークによって、焦げや焼けが必ず見つかる。故障で交換することもあり、その場合は接点が溶着しているか、バネが折れて機械的に壊れていることが多い。

翻って、プライベート先。何度かリレーを交換しているが、どれも仕事先で見るような散々なコンディションには程遠い。それなら、ウィンカーリレーはどういうコンディションになっているのか気になってくる。接点の状況を知りたかったことや、長期運用に備えての予防保全目的で交換することにした。

なお、ウィンカーの正式名称は『ターンシグナルランプ』となっていて、EK9の整備書上では『ターンシグナルライト』と表記されている。当レポートでは、馴染み深い『ウィンカー』という表現で統一している。

あのカチカチ音はどこから?

ウィンカースイッチやハザードスイッチを扱うとカッチ…カッチ…とリレーが動作する音が聞こえてくる。ヒューズボックス内に装着されているリレーによるもので、接点を繰り返し開閉することで、各ウィンカーライトを点滅させている。

インストルメントドライバーロアーカバーを外す

運転席側の足元カバーを外す。赤色丸のネジ3本を外してから、青色枠の裏側にある3ヶ所のクリップを引っ張りながら外すと、ダッシュボードから足元カバーが外れる。

電動格納ミラー用スイッチのカプラーを外す

ダッシュボードから足元カバーが外れても、すぐに引っ張り出さないこと。カバーには電動格納ミラー用のスイッチが装着されており、カプラーによってハーネスが接続されているためだ。外れたカバーを左手で支えたまま、右手でカプラーを抜く。

オートエアコン用のカプラーを外す

もう一つカプラーがあって、未使用のオートエアコン用の車内温度センサーカプラーが刺さっているので外す。

ウィンカーリレーの位置

カバーを外すとヒューズボックス全体が見えてくる。ヒューズボックスの向かって右下側、赤色の丸で囲った大きな黒い箱がウィンカーリレーだ。試しにハザードスイッチを入れてみると、大きな動作音が鳴り、リレーに触れてみるとハッキリとした振動が伝わってくる。

グレードや製造時期によって装着されているリレーは異なるようで、見た目が大きく違う場合がある。

デンソー製リレーの場合

ストックしてあったヒューズボックスには、デンソー製のリレーが装着されており、現車と比較しても小さなサイズになっている。よく見ると、旧社名の「日本電装」時代のNDマークで、1982年から1996年のもの。

EK9は1997年から販売開始されていたことから、このヒューズボックスは他グレードや他車種で使われていたものか、日本電装仕様のリレーが大量に在庫してあった都合によるものなのか。なかなかナゾなヒューズボックスだったことから、分解調査後に廃棄している。

交換

ウィンカーリレーはヒューズボックスにツメで固定されている。細いマイナスドライバーを二本使ってツメを広げ、リレー本体を抜き取る。

右側のツメ

右側のツメはすぐ横にハーネスがあり、作業性が少々悪い。

左側のツメ

左側は広々としている。両方のツメを広げつつ、リレー本体を左右にカタカタと揺らしながら引くと、ヒューズボックスから抜けてくる。

新旧リレー

新旧リレーが並ぶ。手元のパーツリスト上では、38300-SE3-004(DENSO)と38300-SE3-013(ミツバ)の二種類がヒットするが、注文で引けたのはデンソー製の38300-S5T-004だった。

 38300-SE3-004(DENSO) 
 38300-SE3-013(ミツバ) 
 38300-S5T-004  リレー  3,355円  1個

統廃合で部品番号がよく変わるため、年式やグレードの違い(車台番号、型式指定番号、類別区分番号)で引けるリレーは全く異なる場合がある。レポート上の部品番号は絶対に鵜呑みにしないこと。

ヒューズボックスのソケット部分

ヒューズボックスのソケット部分には『TURN』と文字がある。リレーは3ピンタイプなので、決まった向きのみで装着できる。

新リレーを装着

新しいリレーを装着。ハザードスイッチで全てのウィンカーライトが点滅することを確認、続いてエンジンを始動し、ウィンカースイッチの右、左で、それぞれのウィンカーライトが確実に点滅していることを確認する。

ミツバ製のリレーは「カッチ…カッチ…」と聞き慣れた音だったが、デンソー製になったことで「カッチャ…カッチャ…」と全く違った音に変わった。少なからず違和感を抱いたが、耳が馴染むまでのしばらくの我慢だ。

ウィンカーが正常に動作していることを確認して、足元カバーを元に戻す。ウィンカーリレーの交換よりも、このカバーの脱着のほうが時間が掛かっている。

分解調査

取り外したリレーは廃棄前に分解して、状態の調査となる。23年に渡って動作し続けた接点の状態はどうなっているのだろうか。

ミツバFR-3309

ミツバの型番としてFR-3309が設定されている。本体を開くと、リレー本体、コンデンサや抵抗がハンダ付けされた基板が出てくる。灰色のカバーがリレーで、どうやって開けるのか?とマイナスドライバーでコジっており、傷が入っている。

ウィンカーリレー全体

灰色のカバーを開けたところ、見慣れたコイルと接点のリレーが見えた。左側にはコンデンサ、抵抗やICが並ぶ。

二本の電解コンデンサ

電解コンデンサは二本。片方は日本ケミコンに吸収合併されたマルコン電子製、もう一本は日本ケミコン。105℃品と85℃品が同一基板に並ぶ興味深い設計となっている。

固定接点の様子

固定接点側。会社でよく見る、接点の周辺に黒い汚れが積もった状態になっている。新品ではドーム型の接点になっていたようだが、23年分の動作によって接点の一部に剥がれが生じている。

可動接点の様子

可動接点側。こちらは接点が黒くなっており、通電可能な部分は減っていたようだ。固定接点で剥がれた部分が、可動接点側に移っていた。

カバー内側の様子

黒く焦げた金属はカバーの内側に飛び散り、長年の動作を印象付けている。

調査と撮影が終わり、本体とリレーのカバーは普通ゴミ、基板部分は金属ゴミに分別して捨てることになるが、この灰色カバーはどこかで扱ったような、記憶のあるサイズだ。高さはともかく幅が気になる。いやまさか?と収納箱の中に片付けられているNゲージの鉄道模型を引っ張り出して、貨車の上に乗せてみると。

まさかのNゲージサイズ?

灰色カバーは、まさかのNゲージサイズだった。高さが若干足りないが、違和感は殆どない。編成の中に紛れ込ませても、すぐには分からないような、ステルスコンテナとなった。貨車への固定は小さく切った両面テープでどうぞ。

交換後の調査からちょうどいい交換タイミングだったことが分かった。もし出先で壊れてしまった場合、手信号で周囲に合図を送ることになるが、覚えていない人の方が圧倒的に多いのではないか。窓から右腕を出し、肘を曲げて前腕を垂直にした場合、これを意味する信号はなにか(答:左折)。

手信号に苦労するくらいなら、まだ使えるかもしれないが、前もって交換しておく。予防保全を応用した維持方法はウィンカーリレーに限らず、これまでのリフレッシュ作業の多くに当てはまっている。過剰整備となる可能性を含んでいるが、欠品パーツが多くなっている現状では、無駄ではなかったようだ。

ウィンカーリレーの故障→交換→正常復帰をまとめたWebページが多く見つかることからも、ウィンカーリレーの故障は珍しいものではないと感じた。やはり、事後保全よりも予防保全のほうが性に合っている。

走行距離:332,312km

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