メインリレーといえば、1980年代から1990年代初頭に掛けての旧いホンダ車における、弱点の一つ。メインリレーが故障することで、夏の暑い日になるとエンジンが掛からなくなってしまうというもの。EG系シビックやPP1ビートでは、メインリレーの故障に伴う交換レポートがWeb上に多数上がっていることからも、故障事例は少なくはないようだ。
1990年代後半の車種となるEK系シビックにおいては、メインリレーの故障対策が行われたようで、EG系シビックやPP1ビートとは異なる品番に変更されている。
故障対策が行われても弱点部品であることには変わりなく、使い続けて21年。本格的な暑いシーズンを迎える前に予め交換しておき、突然死を防ぐことになった。
結論から書くと、取り外したメインリレーにはハンダクラックが二つ見つかり、ギリギリの状態で動作し続けていたことが判明した。暑さと振動によりハンダにストレスが掛かっていたとみられ、出先で不調に陥ることがなかった点は、本当に運が良かった。
交換
EK系シビックのメインリレーは、助手席側グローブボックスを外した先にある。
グローブボックスのヒンジのボルトを外し、グローブボックス本体をダッシュボードから外す。
グローブボックスを外すと、早くもメインリレーが見えてくる。写真中央部分にある灰色の物体が、これから交換しようとしているメインリレー。赤丸のネジを外し、上下の白丸部分の内側では固定用金属クリップでダッシュボード内のフレームに固定されているので、カバーASSY全体を手前に引っ張るようにして取り外す。
続いて、サイドカバーASSYを外す。赤丸で囲ったクリップは中心部のネジを抜けば、クリップ全体が少し浮き上がるようにして外れてくる。
残る固定用金属クリップはサイドカバーASSYの裏側、黄色い丸で囲った部分にあって、ダッシュボード内フレームに押し込まれるようにしてセットされている。サイドカバーASSY全体をダッシュボードから引き剥がすような感覚で力を加えれば、バコッと大きな音と共に外れてくる。
これでメインリレーの固定ボルトが見えてくる。ボルトを外せば、ダッシュボード内フレームからメインリレーを取り外すことができる。
メインリレーに繋がるハーネスは細いタイプで、長さにも余裕がないため、引っ張って断線しないように注意が必要。そこで赤丸の爪を押し込みながら、黄色矢印の隙間から細いマイナスドライバーなどで、コネクタを持ち上げるようにして外す。
新しいメインリレーへ交換したところ。取り外していたグローブボックスなどを取り付けていく前に、一旦エンジンを掛けてみる。イグニッションキーをII(ON)にして燃料ポンプの動作音が鳴り、III(START)に回して正常に始動するか確認し、異常が無ければ外していた部品たちを元通りに装着して作業終了となる。
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分解調査
冒頭でも書いたように、内部基板にはハンダクラックが二箇所見つかり、寿命が近い状態で動作し続けていたことが判明した。テスターによる導通検査では異常は無かったが、このまま放置すればエンジンが始動できなくなるトラブルが起きるところだった。
最も大きかったハンダクラック。ここはバッテリーからイグニッションスイッチを経由し、燃料ポンプへ繋がるスイッチ部分。完全な剥離までは起きておらず、回路としてはまだ生きてはいる。
遅かれ早かれ、運転時の振動や熱でクラックが広がる可能性がある。ハンダが完全に割れてしまえばエンジンの始動不能、エンジン回転中であれば燃料ポンプが止まって息継ぎ症状、もしくはエンストを起こしてしまうことが予想される。
もう一つのハンダクラックは、とても小さなもの。リレーのコイルのダイオードだ。なぜかハンダの量が少なく、もともとストレスに弱かったと考えられる。
メインリレーと名づけられた本体内部には、コアとなる二つの小さなリレーが収められており、背後にある黒い箱が二つのリレーの保護カバー。その他、セメント抵抗やダイオードが接続されている。リレーの接点には、荒れや焦げといった劣化は見つからなかった。
1.イグニッションキーをII(ON)にした瞬間から、向かって右側のリレーが動作してバッテリー電源をECUに加圧、同時にインジェクターやEACVの駆動用電源も入り、左側のリレーの動作準備に入る。
2.ECUからの制御で左側のリレーが動作し、燃料ポンプを動かしてエンジン始動に備えて燃圧を上げておく。そしてセルモーターが回転しているときは、左側のリレーにバッテリー電圧を直接掛けて強く励磁し、接点が離れないようになっている。
〆
基板上のハンダに二つのハンダクラックが見つかったことで、動けなくなる一歩手前という、危ない状態で走り続けていた。トラブル発生前の予防交換どころか、ジャストタイミングな交換となった。
振り返ってみれば、イグニッションスイッチやインテグレーテッドコントロールユニットといった、経年に伴う電装系の故障が明らかに増えている。メインリレーのハンダクラックも、やはり経年に由来するものだろう。他の電装系部品においても、合計21年に渡って振動と熱のストレスを受け続けていることから、順次交換していくことが良さそうだ。
走行距離:289,064km