毎日の運用では駐車時だけでなく、交差点や渋滞での長時間停車、急な坂道での発進時にサイドブレーキを使うことになり、その度にサイドブレーキレバーを引き、そして走り出す前にリリースする。

サイドブレーキは機械式なのでサイドブレーキレバーを引けば、接続されたサイドブレーキワイヤーが引っ張られ、接続先はリアブレーキキャリパーに組み込まれたサイドブレーキ用のレバー。このレバーが回転することで、ブレーキパッドが押し出され、ブレーキが掛かる仕組みになっている。

サイドブレーキワイヤーは、常に強い力で引っ張られ、また一気にリリースされ、そんな緩急のストレスを受け続けて21年が経過。切断や伸びてしまうといったトラブルが出る前に交換し、リフレッシュすることにした。

買っておいて助かった…

サイドブレーキワイヤーは2016年8月に購入、ストックし続けてきた新品を使用した。ワイヤーに対し、急な屈折やねじれといった余計なダメージを与えないよう、大きな円を描くような状態で梱包されている。

梱包状態のサイドブレーキワイヤー

リアシートの座面幅程度の大きさがある。サイドブレーキレバー周辺のパーツも、同時に購入している。

サイドブレーキワイヤー系統のパーツリスト
7.  47510-S03-Z01  ワイヤーA,R.パーキングブレーキ  4,410円  1個 ※1
11.  47560-S03-Z01  ワイヤーA,L.パーキングブレーキ  4,410円  1個
 ※1 2016年8月価格
4.  47360-SB2-000  イコライザー  450円  1個 ※2
5.  47365-538-000  ピン,イコライザー  220円  1個
8.  47522-594-000  ナット,パーキングブレーキアジャスティング  205円  1個
9.  47537-671-670  スプリング,パーキングブレーキロッド  145円  1個
13.  47572-ST0-000  ベース,ワイヤーガイド  230円  1個
 ※2 2016年8月価格

交換

まずは車内側において、取り外し作業を進めていく。

リアコンソールの取り外し

内装パーツとして、サイドブレーキレバーを覆うリアコンソールASSYを取り外す。黄色矢印で示したタッピングスクリュー(2本)を外し、リアコンソールASSYを持ち上げつつ後方に引くようにして外す。

リアシートを外してフロアカーペットを外す

リアシートを外しておくlink。座面部分を外すと見える、フロアカーペットの固定クリップ3個を外し、前方に向かってめくれるようにしておく。

イコライザー関係の取り外し

いよいよサイドブレーキレバー部分の分解。青丸で囲ったナットを外してから、橙色の丸で囲ったボルト2本を外す。青丸で囲ったナットの正式名称は『パーキングブレーキアジャスティングナット』で、180°毎に回してワイヤーの調整量を固定することができるが、調整を繰り返すと変形してしまうので消耗品となる。

アジャストナットから出ている、サイドブレーキレバーからのネジの長さは実測9mmとなっていた。これが後に、経年によるサイドブレーキワイヤーの伸びと関係してくる。

ワイヤーガードベースを外す

ワイヤーガイドベースは、前方に向かってスライドさせて外す。

グロメットを押し込む

フロアカーペットを大きくめくると、サイドブレーキワイヤーが車外へ出て行く部分が見える。グロメットで固定されているので、押し込むと下回り側(車外側)へ外れる。

ココから、リア側をジャッキアップ、リアタイヤを外しての作業となる。車体はリジッドラック(ウマ)に掛けて、外したリアタイヤはサイドシル下に配置。ギアをR(リバース)に入れて、輪止めもセットしておく。作業の性質上、フロアパネルに付着した粉塵やアンダーコートが目や口に入りやすい。保護メガネやマスクがあると防御に役立つ。

遮熱板の取り付けボルトを外す

いきなりブレーキ周辺をいじるのではなく、黄色丸の中間パイプ用の遮熱板の取り付けボルトを外す。サイドブレーキワイヤーを装着する際、グロメットを下回り側から押し込んで装着するために手を入れられるスペースの確保するだけでなく、

右側サイドブレーキワイヤーの固定ブラケット

右側(運転席側)サイドブレーキワイヤーの固定ブラケット…ボルト(黄色矢印)が、遮熱板の裏側に装着されているため。遮熱板をずらしておかないと、ボルトを外すことができない。

リアキャリパープロテクターの固定ボルト

黄色丸のボルト2本を外し、リアキャリパープロテクターを外す。

サイドブレーキワイヤーの取り外し

プロテクターを外せば、リアブレーキキャリパーのピストン側、そしてサイドブレーキが動作するためのメカが見えてくる。赤矢印のスナップピンを外し、続いて黄色丸のワイヤーエンドピンを外す。これら二つの小さなパーツをレバーから外して、水色矢印のクリップを外す。

固定クリップを外すと

これでリアブレーキキャリパーから、サイドブレーキワイヤーが外れた。サイドブレーキワイヤーを少しずつ引っ張って、リアブレーキキャリパーのアームから抜いていく。

固着なし

固着もなく、スムーズに抜ける。

トレーリングアームの裏側へ

サイドブレーキワイヤーは、トレーリングアームの裏側へ入る。トレーリングアームが上下左右に動いても、サイドブレーキワイヤーのアウターケーブル(外装)部分に衝撃が加わらないよう、緩衝用のゴムブッシュを介している。特に固定されている様子はなく、トレーリングアームの穴に引っかかっているだけ。

サイドブレーキワイヤーは片側につき3本のボルトで固定されており、リアブレーキキャリパー側から一本ずつはずしていく。トレーリングアームへの装着用ボルトと車体装着用のボルトは異なるので、混ぜないように注意する。

トレーリングアームの裏側へ

トレーリングアームの裏側で、一本目のボルトを外す。

サイドブレーキワイヤーの固定ブラケット

そのままサイドブレーキワイヤーをたどっていくと、二本目が見えてくる。L型の大きなブラケットで車体に装着されており、このブラケットに右(R)側、左(L)側の刻印が打ってある。左右共に、地味に厄介な位置に装着されており、注意を要する部分となる。というのも…

燃料配管に注意

写真のように左側(助手席側)では、燃料の配管がボルトのすぐ近くを通っているため。ラチェットやスパナで回そうとして、配管を傷つけないよう、慎重に作業する。これが右側(運転席側)になると、中間パイプ用の遮熱板の裏側にあって、これまた作業しにくい位置にある。

三本目はフロアパネル

三本目のボルトは、フロアパネルのフレームに装着されている。以上、これら3本のボルトを外すと、サイドブレーキワイヤーを車体から取り外すことができる。

新品のサイドブレーキワイヤーの装着は、これまでの逆の手順で装着していく。最初にグロメット、フロアパネルのフレームのボルト、L字型ブラケットのボルト、トレーリングアーム裏側のボルトの順で装着していき、最後にリアブレーキキャリパーとサイドブレーキワイヤーを連結する。

取り付けはグロメット側から

最初にグロメット側から装着、固定しておくことで、サイドブレーキワイヤーを取り回すために軽く引っ張るくらいでは、車体から外れなくなる。

以上、写真はマフラー系統がない左側のみ撮影しているが、右側も作業を行っている。安全を最優先に確保するため、左右同時に作業せず、一作業一片付けを徹底。外せない、装着できないという予期しないトラブルが起きても、サイドブレーキが片側でも動作すれば、そのままディーラーに駆け込めるくらいのバックアップとなる。

サイドブレーキワイヤーの調整

左右のサイドブレーキワイヤーを交換し終えたら、サイドブレーキワイヤーの調整を行う。

リアブレーキキャリパーの確認

1.リアブレーキキャリパーのレバーがピンに接触していることを確認する。

アジャストナットで調整

2.サイドブレーキレバーを1ノッチ引き、ブレーキローターが軽く引っかかりながら回るところまでアジャストナットを締め込む。

3.サイドブレーキレバーを戻し、引き摺りがないことを確認する。

4.サイドブレーキレバーの引きしろを確認する。操作力196N・m(20kgf・m)で6-9ノッチ。初期馴染みにより、サイドブレーキワイヤーが多少伸びることを考慮して、一ヵ月後を目処に再調整する。

新旧比較

サイドブレーキワイヤーを交換している最中に、新旧の比較を行った。

新旧比較その一

新旧比較。新品のサイドブレーキワイヤーに比べて、取り外した古いワイヤーは10mmほど長く伸びていた。内部の潤滑が悪くなっているようで、引き心地が硬い。

サイドブレーキワイヤーの調整において、交換前、サイドブレーキレバーのアジャストナットから出ているネジの長さは実測9mmだったが、新品への交換後はアジャストナット内に留まっていた。この点からしても、古いワイヤーは経年により伸びていたと考えられる。

新旧比較その二

リアブレーキキャリパー近くのダストブーツの様子。上が新品、下が古いもの。ダストブーツには谷部のひび割れ、山部の膨れが発生し、このまま放置すれば裂けて雨水等の水分に晒されてしまい、錆の発生、最悪切断に至る可能性があった。伸びていることも確認できたため、かなりのストレスを抱え込んでいたものと思われる。

新旧比較その三

サイドブレーキワイヤーを引っ張ってみると、山部にも無数のひび割れが出てくる。ダストブーツは硬く柔軟性が失われていることも分かったので、今後はタイヤローテーションのときにシリコングリスの塗布を行うことにした。

サイドブレーキワイヤーの内部潤滑性が良くなっているため、サイドブレーキレバーの操作が軽くなった。また、調整を行ったことで、これまでよりも少ないノッチ数でブレーキを掛けることができる。坂道にて、サイドブレーキを掛けたまま後退しないことも確認済み。

サイドブレーキワイヤーは、ジムカーナ等の競技におけるサイドターンといった酷使をしなくても、21年にも渡って使えば老朽化することが分かった。構造上、サイドブレーキレバー近くの、ロープが露出している部分以外は点検できないので、トラブルが起きる前のリフレッシュで安全性向上にも繋がる。

新品のサイドブレーキワイヤーが入手できず、かといって中古では不安があるとなれば、各地にあるサイドブレーキワイヤーの製作業者に相談することが視野に入る。現役で走り回っているとはいえ、実際はネオクラッシックカーに当てはまり、0歳児が20歳の成人を越えたのと同じ年数が経過している。現物を持って製作してもらうという、旧車にあるような修理方法は他人事ではなくなってきている。

走行距離:287,790km

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