かつて、マザーボード上の電解コンデンサが膨張したり、破裂したりするトラブルが多発した。2001年後半から2002年前半にかけて製造された、台湾製電解コンデンサが問題だという。電解液の成分に欠陥があるようで、早いものでは1年とちょっとで膨張などのトラブルが発生する。マザーボードに限らず、液晶モニターの電源回路部でも発生しているようだ。

VIA C3M266-L修理中

▲電解コンデンサの大量の死骸

電解コンデンサが膨張してしまい、ダメになったマザーボードを蘇らせる…。交換用の電解コンデンサは1本100円以上の値段で、本数が増えれば金額も増す。ソフトウェアに要求されるハードウェアのスペックは、常に上がり続けている。2000年初頭のマザーボードでは、規模が増していく一方のソフトウェアについていくことがやっとの状態かもしれない。それでも復旧を試みるのは、やっぱり愛着があるからだろう。

状況

AOpen AK77-333

発売は2002年3月下旬ごろ。
買ったLeadtekのマザーボードが初期不良で回収され、同等代替品として入手したもの。初の自作機だった。途中、電源装置の発火事故に遭いながらも稼働し続け、作り替えに伴って退役となった。ちなみに、作り替えで入手したマザーボードが、後述するGIGABYTE GA-7N400 Proであり、二枚続けてコンデンサトラブルが発生したことになった。退役後の整理中に、たまたまこのマザーボードを眺めていたところ、異常を発見。CPUソケット周辺のLelon製6.3V 2200uFが3本膨張。

Lelon製6.3V 2200uF

左から2本目が膨張した電解コンデンサ。
2001年後半から2002年前半に製造された電解コンデンサの在庫品を使っているとすれば、発売時期に合う。このマザーボードに関しては、既に退役して用途が無かったため、調査のみに留めて廃棄。


VIA EPIA-MC933

発売は2002年11月下旬ごろ。
2004年6月6日に新品で入手し、自宅サーバ用として運用。退役する2005年7月まで、ほぼノンストップで稼働。1年1ヶ月間ほぼノンストップだから、単純計算で9,480時間使っていたことになる。不良コンデンサは5,000時間程度(1日8時間運用で1年9ヶ月)で、不具合が発生するとされる。この5,000時間が峠とするならば、計算では208日目に寿命を迎えていたことになる。停止するのはさらに190日後のことで、その間に目立った不具合はなく稼動し続けていた。退役後の点検作業において、ATX電源コネクタ横のGSC製6.3V 1500uF一本が膨れているのを確認した。

GSC製6.3V 1500uF

ピンボケだが、赤い四角で囲んだ電解コンデンサの頭が膨れているのが分かる。

GSC製6.3V 1500uF

角度を変えて。

このサーバは非力ながらもFreeBSDをノンストップで走らせ、耐障害性や静音対策はできる限りのことをやった。何かと手を加えてたマシンだけに、電解コンデンサの不良というかたちで終わってしまったのはショックだった。修理する気が全く起こらず、写真撮影後に処分した。2005年9月19日のことだ。


VIA C3M266-L

発売は2002年12月下旬ごろ。
2005年3月にオークションで入手。少々曲者なCPUであるVIA C3を使うために現役。清掃中に異常を発見した。GSC製6.3V 1000uFが25本と6.3V 1500uFが2本それぞれ膨張。マザーボード上の主要な電解コンデンサはなんと全滅という、異常な記録を樹立。こんな状態にも関わらず、大きな不具合は出なかった。

GSC製6.3V 1000uF

頭部より茶色の電解液が漏れ出ている。写真内の電解コンデンサは全て膨張。黒い点は、交換判定用の目印。

ニチコン製HZ 6.3V 1000uF

GSCから、全てニチコンHZシリーズに換装した。

VIA C3M266-L ニチコンHZ仕様

全作業終了直後。ニチコン仕様となり、格好良く表現するならば「C3M266-L改」か。
VIA C3はまだまだ使うつもりなので、修理作業となった。材料費だけで4,000円にも達し、落札金額と大差ないところまで来てしまった。ここまで来たからには後に引けず。量が量だけに、作業時間も長め。全交換後、起動を確認。このページ最初に掲載してある、電解コンデンサの大量の死骸が、このマザーボードより取り外したもの。修理後、VIA C3/Nehemia 1.2AGHzを搭載し、Prime95を12時間キッチリ実行。異常なく走り切った。

ニチコンHZは多めに購入したことから、未使用のものが数本残っており、以後も収納箱に収められたまま10年近く経過した。部品の在庫を整理していたところ、膨張しているものを発見した。

ニチコンHZも吹く

膨張してからあまり時間は経っていないらしく、吹いた電解液はまだ湿っている。収納状況が悪く、端子がショートしていたことが原因だろう。電解コンデンサはナマモノなので、使わずとも放置しているだけで劣化することから、在庫品は全て廃棄した。現在、HZシリーズは生産終息扱いになっており、この先VIA C3M266-Lを維持し続けるならば再修理を考慮しておかなければならない。


GIGABYTE GA-7N400 Pro

発売は2003年5月下旬。
先のAOpen AK77-333の後継として新品で入手。現在は第一線からは退役。主にHDD関連の調査で、スタンドアロン的に使うことがメイン。使っているうちに、突然再起動がかかったり、フリーズしたりするようになる。点検してみると、やはり電解コンデンサの不良だった。頭の圧力弁が開き、中身が出てきていたのだから。CPUソケット周辺の日本ケミコン製KZGシリーズ6.3V 3300uFが3本膨張していた。

ルビコン製MCZ 6.3V 1000uF

2010年4月下旬、交換作業直後の写真。赤丸の位置の電解コンデンサが膨張していた。台湾製ならともかく、まさか日本製の電解コンデンサが…?という感じだ。さらに調べていくと、日本製ではなく中国製いう情報がちらほら。このマザーボードに限らず、KZGシリーズの膨張事例はけっこう多いようだ。KZGシリーズからルビコン製MCZシリーズ6.3V 3300uFに換装。交換作業後、Prime95を12時間実行。異常なし。キーボードとマウスに的確に反応するのは、AMD系ならではの感触。実に快調。

ところが、トラブルは終わりではなかった。2017年1月早々、HDDの調査を行おうと準備していたところ、再び異常を発見した。

ニチコン製HM 6.3V 1500uF/1000uF

今度はニチコン製HM6.3V 1500uFが2本、同シリーズ6.3V 1000uFが膨張していた。HM6.3V 1000uFはPS/2コネクタの背部にあるもので、写真右下に拡大したものを掲載。ダメになった電解コンデンサの中で、最も酷い状態だった。

ニチコン製HM 6.3V 1000uF

メモリースロットの間にある電解コンデンサも、頭頂部から中身が出てきていた。こちらはニチコン製HM6.3V 1000uF。マザーボード上の、他の部分の同型電解コンデンサも、軒並みダメになっている。

AGP/PCIスロット周辺のニチコン製HM 6.3V 1000uF

AGP、PCIスロット周辺の状況。この部分において、膨張していないHMシリーズの電解コンデンサは1本だけで、これも遅かれ早かれダメになるものと予想される。結局、ニチコン製HM6.3V 1500uFが2本全て、HM6.3V 1000uFが23本中16本が膨張していた。これについては原因がハッキリしており、メーカーであるニチコンおいて、問題となるHMシリーズ及びHNシリーズの一部ロットで、電解液の過剰注入をしてしまうという製造上の欠陥を起こしている。

ニチコンからの公式発表は現在でも見つからず、過去のCNETによる取材でもダンマリを決め込んでいたようだ。この報道情報、そしてマザーボードの発売日…というよりギガバイト内での製造タイミングを辿っていくと、2003年前半に製造されたニチコン製HM、HNシリーズは不良を抱えていることになるはず。

電解コンデンサは長らく通電していなくても、ゆっくりと時間を掛けて劣化が進み、欠陥が含まれているなれば余計に寿命が短くなることから、このHMシリーズは放っておけば膨張してしまう運命だった。

もともとCPUの認識に難があり、AGPポートの接触が超シビア、意図せず予備BIOSで立ち上がるなど、手を焼かせる挙動が購入当初から存在しており、決して使いやすいマザーボードではなかった。年に一度使うか否かという現状では修理費の効果が出にくく、修理せず廃棄することにした。


IBM_M71IX

IBMのサーバxSeries306/206に搭載されているマザーボード。CPUソケット周辺の日本ケミコン製KZGシリーズ6.3V 3300uFが1本膨張していた。GIGABYTE GA-7N400 Proでもそうだったが、このマザーボードでも膨らんでいたのは日ケミKZGシリーズだ。詳細が知りたかったが、メーカーサイトでKZGシリーズに関する情報は「資料請求して下さい」だそうな。

日ケミ製KZG 6.3V 3300uF

写真中央の電解コンデンサが膨張。周囲も同じKZGシリーズである以上、遅かれ早かれ膨張するだろう。

日ケミ製KZG 6.3V 1000uF

反対側より撮影。底部も膨らんでいるのか、背が伸びた…。他にも、CPUソケット周辺に同品が4本、メモリースロット付近にも10V1500uFが3本ある。

このIBM M71IX、いやxSeries306は、企業向けのエントリーモデルとして、2004年4月に登場。企業の中でサーバとしてで稼動している最中に、破裂したなんて事例はあったのだろうか。あったとしても、保守契約があるだろうし、あまり公になっていないのかもしれない。

マザーボード裏面は、塗料か樹脂か、透明なものが薄く塗られていた。ハンダごてを近づけただけで溶けてしまい、まるで納豆のように糸を引く。これの影響で、新しいハンダがうまく乗らず、過熱でパターンを剥がしてしまうという最悪の事態が発生。つまり、修理失敗。ジャンクなマザーボードを復旧させて、現役に戻す作戦は中止に。


Dell PowerEdge SC430

2005年、激安法人向けサーバとしてDellから登場。前オーナーから中古で譲ってもらい、2016年6月まで合計10年近くに渡って活躍し続け、慢性的な不具合から引退。解体作業中、ATX12Vコネクタ付近の日本ケミコン製KZJシリーズ6.3V 1800uFが2本、膨張していたことを発見した。

日ケミ製KZJ 6.3V 1800uF

またもや日ケミだ。ATX12Vコネクタの右側にある電解コンデンサは、悪名高いKZGシリーズだが、こちらについては異常は見られなかった。複層基板だけに、膨張した電解コンデンサがどこに接続しているかは不明。噴き出た電解液はすっかり乾いているが、解体日の前日まで動作していた。決して換気の良くない、熱いケース内での長期稼動によるストレスか、それともKZGシリーズに共通する低品質の当たり事例か。


Scythe SCY-450A-AD12

少々変り種で、サイズ製の電源。静音12cmファンを持つ450Wの電源だ。購入は2006年で、2013年4月のある日、突然起動が出来なくなってしまった。ケース内の電動ファンは回るものの、起動する様子はなく、症状からして電源装置の故障と判断した。故障原因の調査のため引き取って解体してみたところ、異常な点を発見することができた。

TEAPO製SC 10V 1000uF

電源内の電解コンデンサが膨張する例は初めて見た。写真中央と右奥の、TEAPO製SC 10V 1000uF 電解コンデンサが膨張。よく見ると、頭の防爆弁から電解液が漏れ出している。

TEAPO製SC 10V 1000uF

こちらの電解コンデンサは頭の防爆弁が膨らんでいるが、辛うじて電解液の漏れはなかった。

この二つ以外、その他の電解コンデンサには異常は見られなかった。基板のあちこちが焦げていたり、個々の部品の取り付けが甘かったりと、全体的にいい印象は持てない。調査後、さらに解体して処分した。

後書

トラブルの起きたマザーボードは過去の製品になる以上、ソフトウェアの要求には追いつけなくなっており、処理能力、搭載機能、拡張性と全てにおいて未来は暗い。トラブルをきっかけに買い換えて、マシン全体の能力を一気に向上させるのが、最良の答えだろう。立派なサポートや原因不明のトラブルを避けたいなら、メーカ品のパソコンを買うしかない。

修理は簡単ではないし、交換部品も決して安くない。多数のリスクを背負いながらもハンダごてを握って修理に望むのは、トラブルを楽しむ自作PCならでは。

参考サイト
電解コンデンサの大量死 テンプレサイト
コンデンサメーカー一覧サイト