海上自衛隊における『F作業』は有名な隠語で、釣りのこと。F作業の許可が出ると、乗員はみんなそろって釣り糸を垂らす。とても高価な護衛艦が、とても高価な釣り船と化す瞬間。ソナーは魚群探知機として使えるのだろうか。親父からもらった釣りの本の一つに、とある護衛艦の名前と共に購入と記されている理由が分かった気がする。F作業の経験ありに違いない。
食事(各艦で味付けが違うカレー)や風呂(海水風呂)など、力の入れ具合が斜め上な部分を取り上げ、面白おかしく、そして好意的に書かれた記事を多く目にするが、実情はどうだろう。口外無用といったところで、所属していたころのハナシは極僅か。子供ながらタブーな雰囲気を敏感に察しており、あまり聞こうともしなかったが。
今の生活サイクルにも深く根付いているものがあって『フロメシ』だ。訓練終了後、汗まみれ泥まみれの状態で夕食なんか食えるか!というわけで、きれいさっぱりな身になってから食事となる。その流れを『フロメシ』というらしい。それが家だとどうなるか。休日であれば、だいたい16時半あたりから風呂タイムになることが習慣化しており、調べてみると16時半から17時というのが、訓練終了時間に一致したりする。前倒し気味の生活サイクルがすっかり身についていることから、夜以降のオフタイムが多く取れる利点、そして長時間睡眠の確実な確保に繋がっている。
親父絡みというわけではないが、防衛大に進学し、そっち方面への進路を視野に入れていた過去がある。性格上、規律規範が厳しい組織には馴染めないだろうし、けっこう好き勝手できる現状を選んで正解だったかもしれない。