既に報道されているように、東海道新幹線の車内にて、男が油のようなものを頭から被り、自ら火をつけた。車内の部品は炎で溶け落ちているようだし、煙を吸ったと思われる人が亡くなった。事件の解明は専門の組織に任せるとして、我々が今できることは、黙って推移を見守るしかない。
今回の事件で、詳しい情報が一つでも欲しいのは誰もが一緒。その中において、フジサンケイグループの記事では「安全神話に激震」と表現した。そもそも今回の場合、事故ではなく事件だ。運行しているJR東海ですら、まさか乗客が油を持ち込み、被って自ら火をつけるなんて、予想はしていない。もっと言うと、火の手が上がり、他の乗客によって非常ボタンが押され、列車が緊急停止、消火活動、避難誘導や他の乗客の下車がしっかり行われ、ダメージを受けた車両を基地に収容した後に、止まっていた路線が順次再開した。油による火災を受けても、火は内装だけに留まって、全焼は免れているというのに。使える列車を一本失ってでも、一刻も早く運転再開をしたかったJR東海は、完全なる被害者だ。そこを踏まえて、安全神話に激震なんて、ただ単に事件を盛り上げて、JR東海を叩きたいという思惑が丸見え。被害者を面白おかしく書き立てるフジサンケイグループは、本物のカス揃いのようだ。
全ての公共交通機関は、乗客の命を預かっている以上、決して事故を起こさないように日夜血と汗と涙を流し、必死になっている。事故が起きない=安全神話の成立ではなく、事故を起こさないように、過去の事例や予想されるあらゆる事例に頭をひねり、対策を考え実行し、そこで終わらず他にも手段がないかさらに知恵を絞る。そんな裏方が一つ一つ積み重なって、誰でも気軽に乗れるような公共交通機関に成長した。安全神話とは、事故なんて起きやしないと勝手に思い込んでいた、バカなマスコミ連中の幻想でしかない。
そしてさっそく、海外の高速鉄道では手荷物検査を行っているという記事が、やはりフジサンケイグループから出てきた。手荷物検査ですぐに乗れなくなると、今度は「利便性が失われた」「混雑に不満」と書き立てるくせに。手荷物検査やるなら、3分毎に次の列車が来る現状で、しかも1323人分、どう行えばいいのか、ぜひ教えてもらいたい。そして、減便やスムーズな乗車ができなくなっても、それは手荷物検査を求めた結果によるものだ。繰り返すが、今回は事故ではなく、事件だ。事件と事故では、今後求められる対策は全く異なってくる。フジサンケイグループは両者が完全に混ざって見えているらしく、バカにつける薬はない。