さよならダグラス

今日でJALのMD90が退役となり、日本エアシステムが独自に導入した機体が姿を消し、同時に日本の空を支えてきたダグラス機の歴史に幕が下りる。乗った回数は数える程度しかないけど、ボーイング機にはない独特の雰囲気が好きだった。もっと振り返ってみると、かつて存在した三発機のDC10には散々乗ったし、意外とダグラス機とは接点が多かったらしい。乗り収めを考えてみたけど、時間的余裕、金銭的余裕の両方が無くて、とうとう実行できず。

JAL MD90
JAL MD90/(c)Rainbow Island

「なんでエンジンがケツについてんだろ?」と子供ながらの疑問を持った機体。それが東亜国内航空時代のDC9だった。まさかこのときから、DC9/MDシリーズを見続けることになるとは。黒澤仕様のMD90に至っては、1号機から7号機全機種のプラモデルを作ったし、今もクリアファイルやピンズは宝物として保管している。細くて長い機内に、妙に地面が近い低い視点。エンジンの吸気口と可動翼の両方が見れる『特等席』の存在。乗って楽しい機体だった。印象深いヒコーキが日本の空を離れていく。ありがとう、さようなら。安全運行を支えてくれた人へ、お疲れ様でした。

ゴーアラウンド

一日中風の強い日だった。建物に対して真正面から風がぶつかるので、老朽化している現場の屋根はギシギシと変な音を立てていた。夜になっても風はいくらか残っていて、どこからともなく聞こえてくるのはターボファンエンジンが出力を上げた時に鳴り響く音。別に珍しい音ではないのだが、この時間帯に上空から聞こえてくるとなれば、真っ先に考えられるのはゴーアラウンド、着陸復行だ。flightradar24.comを開いて、先ほどのターボファンエンジンの正体を調べてみると、日本航空JL028便だった。香港国際空港発、羽田空港着の便。B滑走路に降り立とうとしてゴーアラウンド。まるで東京湾遊覧飛行の如く、房総半島をぐるりと回って我孫子市まで北上、旋回して再度羽田空港に向かう。

ゴーアラウンド後の飛行経路

ゴーアラウンドを行った結果、こんな航路に。30分近く遅延してしまったが、安全確保のためなら仕方ない。JL028便を追いかけている最中、千葉上空でホールド(空中待機)している機体を発見した。

ホールド中の航路

キャセイパシフィック航空CPA542便、この便も香港国際空港発、羽田空港着の便だった。ゴーアラウンドによりJL028便を迅速に羽田空港に着陸させなければならないのか、一旦CPA542便をホールドさせる。その間にJL028便を追い越させ、ホールド解除後はJL028便の航路をトレースするようにして北上。我孫子市上空から羽田空港へ降り立つ。おかげでCPA542便も遅れてしまったが、どうも香港国際空港を出発する時点で遅れていたらしい。予定よりも遅い位置を飛んでいたせいで、ホールドを食らったとも考えられる。

遅延に遅延が重なってしまうと、余計に遅れるというのは、どの輸送業界も一緒のようだ。やはりダイヤどおりが一番いい。見たいと思ってもなかなか見れない、航空機の遅延処理。上空を常に動き回るという点では、鉄道の遅延処理よりも難易度が高い気がする。

二年

地震発生から二年が経過。

震災前

平屋の伝統的日本建築を思わせる家。緑に囲まれ、どこか懐かしい感じも覚える。すぐ横に木々が生い茂って、井戸もある。森遊びから水遊びを問わず、フィールド遊びにはもってこいの場所。撮影場所は福島県双葉郡富岡町、2010年6月のこと。撮影から約9ヵ月後、東北地方太平洋沖地震が発生。直撃を受ける。

震災で時間が止まったような状態に

倒壊はしなかったものの、すぐ近くの福島第一原子力発電所事故に巻き込まれ、警戒区域になってしまい避難を余儀なくされた。2012年11月、一時帰宅の許可が下りて、住み慣れた家にわずかな時間だけ戻ることができた。人の手を離れてしまった家屋や緑はあっという間に荒れてしまい、まるで時間が止まったかのようにも見える。このときの放射線量は0.007mSv(7uSv)ほどだ。私の地元の値(平均最高値0.000050mSv/0.05uSv)とは比べ物にならない値が記録されていた。

住めるレベルになるまで、この先何年かかるかは分からないが、避難が終わって家に帰ってこそ、復興と言える。写真を通じてだけど、忘れてはならない警戒区域の惨状を知ることができた。震災はまだ現在進行形で続いているということ。

写真の提供を感謝します。

はれときどき○○

子供のころに読んだ絵本「はれときどきぶた」において、○の中に∞を書いたブタの天気記号が出てくる。それが現実世界における煙霧というわけで、その当時は煙霧ってどんな天気だろうといろいろ想像した記憶がある。

14時過ぎから急激に外が暗くなり、天気が崩れる情報は入っていなかったし、一体何事?と外へ出てみると黄色い世界が。かなり強い風が吹いており、しかもヒューヒューと音を立てている。地上でこの有様、高いところからはどう見えるか。ただ事ではないことは確かなので、念のためマスクを着用しておく。

煙霧

視界全体が黄色くなっており、遠くのものが全く見えない。強い風に乗って何かが舞い、痛くて目を開けていられない。目の痛みに耐えつつ写真を撮り、外にいられる環境ではないので、すぐに部屋に戻る。部屋の窓枠には黄色い粉が積もっていたことから当初は黄砂かと思ったが、どうも違う。気象庁の黄砂飛散のマップには出ていない。しばらくして情報が入る。寒冷前線が関東地方に接近し、北西から強い風が吹いた影響で土やちりが巻き上げられて発生した煙霧とのことだった。これが煙霧か。はれときどきぶたで想像した煙霧とは程遠い、極めて身体に悪そうな天候だ。

風向きによって、ここまで土やちりが派手に舞うということは、普段から大気が汚いことになるが…。住んでいる地元の大気環境は工場の排煙やトラックの排ガスで日常的に汚いし、今更どうもできない。だから最近よく聞く、PM2.5とやらもあまりピンと来なかったりする。