ブレス調整依頼

「日向時計店に依頼だよー。ブレスにコマを追加して欲しい」と、カブ主のMARU様から腕時計の調整依頼が入る。必要部品は全て揃っており完璧。さっそく預かって、帰宅後に作業スタート。

ブレスは1コマ追加

ブレスに1コマ追加する。職場にいるうちに、12時側と6時側にどちらに1コマ追加するか、ブレスの組み立て方はどうなっているかといった要素をしっかりと確認しておく。

Cリング式のピンを打ち抜く

ピン抜きとハンマーで、ブレスを構成するピンを打ち抜いてブレスを一旦切り離す。この時計はCリング式のブレスで、構成部品を落としたら見つけるのは至難の業。一つひとつの工程を丁寧に行う。

小物は小皿で仮置き

脱着を伴う細かい部品は小皿で一括管理。普段は車のキーを投げ入れておく旧日本エアシステムの小皿だが、作業中はこのように一時保管スペースとなる。

ブレス追加完了

追加するコマをセットしたら、ピンを曲げないように慎重に叩き込む。作業前は6コマ、作業後はこのように7コマに増えた。Cリング式のブレスは割りピン式に比べて調整の難易度は高く、何度も壊して練習したもの。

必要部品は完璧

ブレス調整を行ったモデルはCASIO EDIFICE EQW-M710。簡易点検で時針の基準位置ズレが見つかり、基準位置を再調整しておく。さらに一晩掛けて標準電波を受信させ時間を合わせて、明日には返却OK。

今回は調整用コマやピン、Cリングといった必要部品が全て完璧に揃っていた。これらがないと調整作業は一切できないが、必要な部品がないまま「コマを追加できないか?」と相談されたことは一度や二度ではない。恐らく、世間の時計店でも聞かれている内容だと思われる。ブレスモデルの時計を買った場合、調整用のコマは絶対に捨てず、すぐに出せて紛失しにくい、分かりやすい部分に保管すること。

ご依頼ありがとうございました。

防水機能は問題なし…と

電池交換のためカシオに預けていた、PROTREK PRT-71/2356が返ってくる。

返送の宅配業者は佐川急便となっていて、たまたま別件での配送と同一タイミングになった。一人の配達担当者が二つの配送物を持ってくるのかと思ったら、まさかの別担当。

つまり、腕時計のような貴重品は佐川急便の直営、その他の配送物は下請けとなっているようだ。中身は大したことのないモデルだが、配達する佐川急便にとってしてみれば、どういう腕時計が入っているか分からないため、全て『貴重品』という括りになっている。

そんな貴重品扱いで返送されたPRT-71/2356を開封。

修理作業報告書とPRT-71

相変わらず機械的に印刷され、作業詳細が分からない記載内容だ。ひとまず、防水/防滴検査OKと印字されていたため、フィールドウォッチとしての機能は維持されていると判断した。

自前で電池交換をすることは多々あるが、古いモデルであるPRT-71/2356をメーカーに送って電池交換をしている理由の一つとして、時計として現存し、計時そのものは正常に行われている。よって修理受付が終了している時計に記載されないための、ほんの僅かな抵抗だったりする。

到着、即日修理

電池切れ予告表示が出た腕時計…PROTREK PRT-71/2356はカシオへ電池交換を依頼。

3月16日土曜日の午前中に発送。

発送地と到着地の関係から、翌日には到着する。しかし、土日はカシオの修理センターは休業日となっているので、月曜日の18日に到着するように設定。

本日3月18日昼過ぎ、配達完了。

という流れ。Web上から修理を申し込みしていることで、これが修理前の事務手続きとして修理センターにデータが登録されている。よって到着後にすぐに修理作業がスタートし、到着したその日に進行具合がいきなり進んでいたりする。

電池交換中

この表示からして、受入検査→旧電池の取り外し→回路点検→新電池交換まで一気に進んでいるのだろうか。防水検査で不良判定が出れば、Oリングの交換も併せて行われると思われる。

カシオの防水用のOリングは複雑な形状になっていて、代替が全く効かないことは多々あるが、このPRT-71系は単純な丸型となっていて、最悪の状況では汎用品で代用することができたりする。

中蓋とパッキンをセット

白いカバーの周囲にある、艶のある黒い輪が防水用のOリング。維持が困難になりやすい古いデジアナ腕時計ながら、Oリングの代えが効くことは地味に大きい。

修理は一週間から10日が目安となり、早ければ次の土日、遅くても来週前半には返却されるだろう。

梱包、出発準備

電池切れ予告マークが表示されたPROTREK PRT-71/2356。前回の電池交換が2021年4月だったので、電池寿命は3年が目安になるだろうか。この時計の精度や電池寿命といった公称スペックは分からなくなっているが、3年程度なら悪くはない。

PRT-71は2024年3月現在もカシオでの電池交換を受け付けている。電池はホームセンターやヨドバシカメラで簡単に入手できるCR1620を使っていることが要因となっている気がする。

一応は防水時計だ。裏蓋を開けた以上は防水性能も関わってくるために、電池交換に防水検査がプラスされる公式サポートを受けるのがベスト。自前でも防水検査は不可能ではないが、メーカー公式に勝るものはなし。

梱包前の最後の状態

今回もサポートセンターへの送付となり、輸送用の梱包箱をレンタル。箱詰めして週末に発送することになる。普段は使わない時計で、加水分解のサンプル扱いになっているとはいえ、動かし続けることが長寿命化の秘訣となる。

電池切れ近し

部屋の掃除をしていて、時計置き場周辺を片付けるために、並べてある腕時計を出窓部分に移動させておく。出窓部分は今日の気温の低さから10℃近くまで冷えていて、応じて腕時計もどんどん冷たくなっていく。

掃除が終わって、避難させていた腕時計たちを元の位置に戻していく。その中の一本…CASIO PROTREK PRT-71/2356については、表示が変わっていることに気付く。

電池切れ予告表示

一目見ただけで、電池切れが近いことが分かる表示。1990年末の設計ながら、電池切れ状態の分かりやすさは現代に通ずるものがある。いや、電池マークに斜線が入ったりする消耗マークは1980年代でもあったと思われ、長らく生き続けているマークの一つかもしれない。

ところが、冷たい出窓部分から暖かい時計置き場に戻ってくると、電池が温まって性能が復活、元の気圧グラフが表示される。電池を冷やすと本来の性能が発揮できなくなるとはよく聞くが、まさにこのこと。

前回の電池交換は、2021年4月後半。もう少しで3年になろうというタイミングなので、電池切れが近いことは間違いない。自前で電池交換をやってもいいが、防水検査も関係してくるので今回もカシオに依頼することになりそう。

先日の、自転車の変速レバーの一件といい、時計の電池切れ予告といい、余計な出費を抑えたい時期に次々と微妙な金額の出費イベントが続く。

来年?再来年?

余所行き用の腕時計としてオメガスピードマスターが手元にある。2016年に購入し、初回のオーバーホールが2019年なので、それから4年が経過している。

オーバーホール終了後、若干の遅れ気味設定になっていることが気に食わず、再調整を依頼して今度は進むようにしてもらった。以後は装着する前に進みを元に戻すのが定例の事前作業となった。それがここ1年は事前作業を行うことがなくなり、普通のクォーツ時計と大差ない精度に落ち着いた。むしろ少しずつ遅れるようになってきた。

タイムグラファーにセットして精度をチェックすると、文字板を上にした状態では一応安定する。腕に装着した状態を想定して向きをいろいろ変えてみると、随分と乱れる傾向があるようだ。歯車の各軸に付着していた油が無くなってきており、軸受けとなる人工ルビーと直接接触している影響か。

現状のコンディションと来年でオーバーホールから5年目になる点から、2回目のオーバーホールを依頼するにはタイミングがいい。もう一つの考えとしては、ある程度のキリのいい数字をベースにするために、2025年にオーバーホールを出し、以後は5年毎というパターン。いろいろと時計を分解して診てきたところでは、油切れを起こした時計の消耗具合はかなりのもの。1年の延期でどれくらいダメージが蓄積されるのか、これはこれで実に興味深い。

メンテナンスを続けて末永く使っていくには、それなりの費用が掛かることを覚悟しなければならず、実用性や経済性の観点では、ハッキリ言って無駄でしかない。コレ!と決めた機械には、費用を掛けて維持し、コンディションを常に上々にしておく。この傾向、車趣味と似たようなものがある。

充電OK

動態保存状態のカシオPROTREK PRW-3500Y-1は、日陰での保管が続いていることから、内蔵バッテリーの充電が追い付かず、LOW表示になったことを11月4日に書いた。

なるべく明るいところで充電しようにも、野外に放置すると大気の汚染状況から一日で粉塵まみれになり、しかも今の季節は太陽の角度と方位があまり良くなく、日光が当たる時間は少なめ。スッキリ晴れた日よりも曇りがちだったり、貴重な日光を得られる時間帯に雨が降っているなんてオチが多かった。

LOW表示が出てから2週間ほど、明るいところに置き続けていた。毎朝の点検で、ようやく内蔵バッテリーの充電状況が『H(High)』表示に戻ったことに気づく。

充電状況H表示

BATTERYと表記された部分の上が内蔵バッテリーの充電状況を示し、久しぶりにH表示が出た。振り返ってみると、2022年4月から5月に掛けてのオーバーホール以来、長らくM(Middle)表示が続いていた。一度フル充電してしまえば、日陰保存でも1年半は耐えられるようだ。

内蔵されているバッテリーの型番を調べてみたところ、どうやらCTL1616Fとなるようだ。コバルトチタンリチウム二次電池(CTL系)となり、過去にはG-SHOCK GW-M5610/3159での修理で扱ったことがある。

LOW表示

毎朝行っている、腕時計のチェック。手巻きの機械式時計ならリューズを巻き、自動巻きならパワーリザーブで残り量に応じて動かし、電波時計は電波の受信状況を見て、デジタル式なら電池切れ予告が出ていないか。

LOW表示

PROTREKにおいては、見慣れぬLOW表示。内蔵されているバッテリーの残量が僅かになっているようだ。

いわゆる動態保存の時計なので、基本は使用していない。外へ持ち出すことはないので太陽光による発電ができず、こうして電池切れ予告が表示されることになった。

こういうときは、窓際やベランダといった、明るくて太陽光が当たりやすい環境で、文字盤を照らすようにして放置する。すると太陽電池による発電が行われ、バッテリーへの充電が進む。この機種(PRW-3500Y-1/3414)の場合、晴れた日の野外といった高照度環境であっても19時間は要する。よって今日一日太陽光に照らしたところで、満充電には程遠い。明日の夕暮れまでは野外放置となる。

時計修理依頼においても「動かない」として持ち込まれる腕時計には、少なからずソーラー時計があったりする。預かったタイミングが朝であれば、日中時間帯は窓際の明るいところで充電を行わせておくと、だいたい昼食前には運針が再開され、夕暮れ前には返却することができる。

返却のときは、太陽電池による発電で、内蔵バッテリーが充電される仕組みを知っているかを問う。知らなければ仕組みを軽く説明し、知っていても休日等の時計を使わないタイミングで、半日や一日くらいの時間を掛けて、充電を行うようアドバイスを行っている。

コラボモデルとか

カシオのEDIFICEシリーズから、ホンダTYPE Rとコラボした『EDIFICE Honda TYPE Rエディション』が登場するそうだ。

EDIFICE ECB-2200HTR-1AJR

▲画像はEDIFICE WINDFLOW ECB-2200HTR-1AJRより引用。

9時位置にある機能針は、黒ベースに白の文字、赤いレッドゾーンと黄色い針の組み合わせ。この見慣れた配色パターンは、タコメーターの配色と全く同じ。

EK9用タコメーター

視認性よし。

本革のバンドは白で、チャンピオンシップホワイトイメージ。ボタンには赤い「R」が刻印され、文字板の12時位置には赤バッジも配置されており、タイプRならではの要素がぎっしりと詰め込まれている。

型番としてはECB-2200HTR-1AJRとなっていて、HTRとはHonda Type Rの略か。このECB-2200系列には樹脂バンドのベースモデル(ECB-2200YDC-1AJF)、メタルブレスモデル(ECB-2200YDC-1AJF)の2種類が存在している。価格は大きく異なり、樹脂バンドモデルが最も安くて29,700円、メタルブレス仕様になると41,800円、そしてタイプR仕様では55,000円となる。

今回はカシオのコラボモデルを取り上げてみたが、コラボウォッチは毎月何かしら出ているように思える。あえてリンクを張ることはしないが、新幹線電気軌道総合試験車(923形、ドクターイエロー)とのコラボモデルがあり、セイコーのアストロンシリーズからもHondaJetとのコラボモデルが発売されていた。

商品を売ることを前面に押し出すのではなく、買う買わないはともかく、まずは会社や商品に興味を持ってもらうようなマーケティング方法へ変わってきたように思える。時計業界だけではなく、車業界で言えば真っ先にトヨタイムズが思い当たり、航空業界でも業務を公開するようになってきた。『いい商品を出せば(勝手に)売れる』という老害的商法から、『商品やサービスを顧客に訴え、企業のファンになってもらう』という、過去の人間からすると遠回りな手法だが、これからの時代は顧客に対してどれくらいアピールできるかがカギになるだろう。

時計はケータイで分かるから、腕時計なんて…という時代があった。今も相変わらずそうなのかもしれないが、一方でApple Watchをはじめとするスマートウォッチが広がっているように感じ、手首回りの装飾品の一つとして装着している人もいるそうだ。スマートウォッチでもいい、チープカシオ等の安い時計でもいい、改めて時計が注目される時代が訪れることを願っている。

電池用ピンセット

先日、シチズン製鉄道時計の電池交換作業をやっていて、ムーブメントから電池を取り出そうとピンセットで摘まみ上げたところ、メキィッと砕ける音が響いた。電池用のピンセットが割れてしまい、それで砕ける音がしたようだ。

電池用ピンセットはプラスチック製。修理に使う精密ピンセットは金属製だが、これで電池を摘まむとショートしてしまう。ショートで発火や発熱には至らないが、電池容量が激減するという地雷状態になる。そこで電池用には、プラスチック製のピンセットを使い分けるようにしている。

頻繁に使うためか、持ち手側後端部分にストレスが掛かりやすいらしく、そこから割れてしまった。それでも作業は継続せねばならず、箸のように割れたピンセットを持って電池を組み込み、一件落着。さて、電池用のピンセットを買い直さなければ。

プラスチック製ピンセット

割れたピンセットと同じものを買ってくる。全く未使用なので、掴み心地がとても硬い。ということは、使っていくうちに軟らかさが増えていき、最終的に割れる…と。こうなると一種の消耗品として捉えておくのがスジか。

調べていくうちに、アネックスやトラスコからも発売されていることが分かった。ピンセットは多く揃えておけば対処しやすい場面が増えるので、こちらも買っておくことにしよう。