秒躍制レバーの扱いには非っっ常に苦労させられたが、だんだん具合が分かってきた(と思う)。コツを掴んでモノにする感覚こそが機械いじりの醍醐味なわけで、微調整がより楽しくなってくる。おかげで19日に調整方法を理解して以降、止まることは基本的にはなくなった。
そうなると、次は実使用を想定したテスト。まずは耐振動性調査だべ…ということで、さっそく4月21日の青森日帰り弾丸ツアーのタイムキーパーとして携行したが、出発前の荷物積み込みのときの衝撃で、いきなり秒躍制レバーが噛み込んだらしく、30秒程度の狂いが出た。ここは慌てず騒がず、後日…23日に再調整を行っておき、24日からの夜勤を含めた通し勤務で左腕に装着して、仕事の現場という過酷な環境でのテストを行った。
始業前の準備体操から始まり、左手で機器を引っ張っていたときに滑って弾かれ、でこぼこ路面で自転車に乗って無駄にハイペースで走り回り、缶コーヒーを左手で振る。普段から左手の使用率が地味に高いおかげで、典型的なストレステストだ。それらの衝撃には全て耐えて正常な運針を続けていたが、帰り際の自動改札機で左手の甲をぶつけたときに、とうとう狂ってしまった。あれだけ振り回して耐える場面が多かったのだから、ずいぶんと上々の結果になった。
そして精度。一日1秒以上の進みは、機械式時計なら無視できるが、クォーツだとそうもいかない。製造された1970年代前半当時は高級腕時計だっただけに、しっかりした精度まで仕上げないと格好がつかない。
高周波数化された38クォーツの回路ブロックには、トリマコンデンサが内蔵された(赤い矢印)。オリジナルの交換式と違って、経年に伴う水晶振動子の変化具合をカバーできるが、回す角度は僅か1度単位の精密さが要求され、これはこれで難しい。返却まであと少しなのだから、しばらく続くストレステストを無事にクリアして欲しいところ。