外装調査 セイコー 38クォーツQR編

セイコークォーツQR、通称38クォーツの外装を調査、そして出来る限りの清掃を行った。購入から40年以上は経過しているはずで、この期間にメンテナンスは一度は行われていると期待したいが、それにしても洗浄しがいのある状況だった。

ケース内のサビ

まずはムーブメントを取り外した直後のケース。パッキンの劣化で汗や水分が浸入し、サビが発生していた。錆びない金属と思われがちなステンレスだが、実際は汗や汚れで表面の酸化皮膜が壊れてしまうと、錆びてしまう。丁寧に除去し、汚れを徹底的に清掃する。

洗浄後のケース

サビの除去と洗浄で、だいぶキレイになった。サビ特有の変色が若干残っているが、時計全体の状態から深追いは良くないと判断してここで止め。風防側の密封状況は決して良好ではなく、仕方ない部分だ。

清掃前の竜頭

清掃前の竜頭。内側にホコリや垢が大量に積もっており、溝も黒ずんでいる。水に漬けると汚れが煙のように広がり、長年の疲れが蓄積しているのが一目瞭然だった。

清掃後の竜頭

清掃完了。溝も一つひとつ磨いて、しっかりと汚れを落とした。

洗浄前のブレスその1

洗浄前のブレス。ここも汚れがたまりやすい部分。

洗浄後のブレスその1

洗浄完了。バフ掛けすると細かいキズを消すこともできるが、加工修正については今後の課題になりそうだ。

洗浄前のブレスその2

こちらも洗浄前のブレス。ブレス本体だけでなく、調整用駒の割りピン穴にも汚れが溜まっていた。割りピンに至っては正しい向きではない部分があり、清掃と修正を行っていく。

洗浄後のブレスその2

洗浄完了。割りピンは全て歪みがあり、抜け落ちやすくなっていることから、交換を視野に入れたほうがいいかもしれない。

ムーブメント本体の分解調査の前に、外装系部品のチェックと洗浄が済んだ。最初は中身を拝見するだけだったのが、いつの間にかオーバーホールの練習台になり、どうにか復活できないか?という段階にまで達した。外装系の調査結果としては、やはりアンティークな時計なのでキズの多さは仕方ないところで、バフ掛けすればある程度は修正できるはず。カットガラスを用いた純正風防は欠けや打痕があって、ついでに透明度も落ちており、素人目からしても風防の密封状況は良くない。ただ、38クォーツの特徴的なデザインだけに、こればかりはノータッチで活かしたままにしたい。裏蓋のゴムパッキンも痩せているので、表と裏が弱っている現状では水気厳禁となる。