EK9シビックRは、ベースグレードに対する軽量化を行うため、フロアのメルシートが廃止されている。とはいえ、全てのメルシートが廃止されたわけではなく、ダッシュボードロアー、フロアパネルと極一部に残されている。問題になるのがフロアパネルのメルシートで、メルシートの下にパネルの合わせ目とシール剤があり、このままでは錆の状況がチェックできない。特に前回、助手席側のフロントフロアパネル部分の合わせ目に錆が見つかってlink応急処置を行っているだけに、対する運転席側の状況も調べておきたい。

運転席側メルシートの変色

カーペットを捲るとメルシートが見える。フロアパネルの合わせ目のシール剤に沿うようにして変色があり、錆由来のものなのか、シール剤由来なのか、アンダーコートの油分かは分からない。そこでさっそく、メルシートを剥がし、フロアパネルの錆調査、僅かばかりの軽量化を行うことになった。

対メルシートにはドライアイスで

メルシートをキレイに剥がすには、強く冷やす必要がある。外気を利用して冬場に剥がすのも一つのパターンだが、夏場に錆を見つけてしまった以上は、冬まで待てない。そこで強力かつ王道の冷却材、ドライアイスを使用する。

ドライアイス計5kg

ドライアイスのブロック、合計5kg。3kgで購入したのだが、販売店側では仕分けが終わっており、残り物のおまけという扱いで、2kg分をタダでつけてくれた。

ドライアイスの販売先は「(例えば自分の住んでいる)市区町村 ドライアイス 購入」と検索すると、意外と多くの販売店が見つかるはず。素人では保存し難いものだけに、需要があればすぐに販売、出荷できるようになっているためだろうか。今回は、某大手ガスメーカーの営業所に直接出向いて購入した。

ドライアイスは外気でどんどん昇華(気化)してしまうため、のんびりしている暇はない。営業所から素早く車に戻り、運転席を取り外してカーペットを捲り、3kg分のドライアイスを砕いて川原の石サイズにまで小さくし、メルシートの上にばら撒いていく。温度は-78℃に達するので、手袋を装着して凍傷を防ぐ。

メルシートの上にドライアイスを撒く

メルシートの上にばら撒いたドライアイス。第一段階はこれでOK。ドライアイスにドライバーを当ててキーキー鳴かしたり、冷気を団扇で扇いで涼を得ながら時間を潰していると、冷やされたメルシートがフロアパネルから自然に剥がれ、ミシッ…パキッ…と音が鳴り始める。

下回り部分では凍結が始まる

下回りから覗くと、湿気が凍り付いてフロアパネルに付着していた。しっかり冷えた証拠でもあるので、いよいよ剥離作業を開始する。

メルシートの除去作業開始

フロアパネルに傷をつけないよう、柔らかいスクレーパーで剥がしていく。30℃を上回る気温の中、ドライアイスのおかげでフロアパネルが冷たくなり、周辺の空気も適度に冷やされるので、なかなか快適な作業環境だったりする。ドライアイスは常に昇華し続けるため、酸欠にならないようドアやリアハッチを開けっ放しにして、二酸化炭素をその場に留めないよう注意しながらの作業が続く。

メルシート除去中

メルシートが変色していた部分は地味に強固で、残っていたドライアイスをかき集めて再冷却。3kgあったドライアイスもずいぶん小さくなっていた。1kgのブロックを割らずに追加し、フロアパネルにこびり付いている細かい破片を除去していく。ちなみに、あと1kgのブロックが残っていたが、飲み物の保冷剤として使っており、いつでも冷たい飲み物を味わうことができた。

大きなメルシートは除去完了

あらかた剥がし終えた直後。ずいぶんすっきりして、フロアパネルのパネル部の合わせ目とシール剤をチェックができるまであと少しだ。残っている破片は、ドライアイスで冷やしても除去できないくらい小さくなっているので、次はガソリンによる清掃を行う。

ホワイトガソリンで清掃

そのガソリンは、キャンプ用品かつ入手が最も容易なコールマン製のホワイトガソリンを使った。ホワイトガソリンを紙コップに小分けして、筆でメルシートの破片に塗布して溶かし、柔らかいスクレーパーで除去。多少残る変色は、パーツクリーナーで拭いていく。

フロアパネルのメルシート、除去完了

勢いでサイドガーニッシュを外して内側部分の清掃も終え、フロアパネルのメルシートの除去が完了した。シール剤の上に少々残っているが、後ほど錆調査でシール剤ごと削り落とすので、深追いはしなかった。

剥がしたメルシートの量

剥がしたメルシートはこの量。ドライバーの長さは125mmほどで、重量は未計測ながらも500mlのペットボトルと似たような重さの印象だった。500g程度なら余計な荷物を降ろしたり、ドライバー自身のダイエットのほうが早い気がするが、これでも車体の装備を外すことで達成した、立派な軽量化だ。

パネルの合わせ目の錆は

冒頭に書いたが、本来の目的はメルシートの変色原因調査だ。変色が錆由来なら、ケレンを行い、錆止めを行うことになるが、シール剤上に錆が膨張したことで生じる変形や茶色のシミは見つからない。パネル本体の調査とシール剤上のメルシート除去を兼ねて、電動回転ブラシで削る。

シール剤を剥がしてパネルのチェック

キレイな鋼板が露出し、錆がないことが確認できた。しかも下回り側からのアンダーコートや防錆剤が浸透した痕跡もなかったことから、メルシートの変色原因は純正シール剤由来の変色だったと考えられる。何もなくて安堵しつつ、さっそく復旧作業を開始。まずは防錆剤(サビキラープロ外部リンク:サビキラー)を塗布し、剥き出しになった鋼板を保護する。

再シールして作業完了

防錆剤が乾いたら、シール剤を塗ってパネルの合わせ目を封じる。グロメットを外して内部にノックスドール700をスプレーしておき、パネル内側から錆びないようにしておく。外していたサイドガーニッシュを再セットし、カーペットや座席を元に戻して室内側の作業を終える。

下回りにノックスドール300を塗布

現状では錆がなかったことから、防錆対策が行いやすい。まず合わせ目に向かってノックスドール700で防錆剤を浸透させておき、十分な時間を空けてからノックスドール300でコーティングして、全ての作業を終える。

メルシートの下のフロアパネル本体には、大きな変形は特に見られず、しかも懸念していた錆もなく、健全な状態を保っており一安心だった。今は何もなくても、将来的に錆に見舞われたら結局はメルシートを剥がすことになり、前もって手を付けておくことで、後々の追跡調査と作業工程の削減に繋げている。

メルシートを剥がしたデメリットといえば振動や騒音の増加だが、それらは剥がす前と特に変わりなく感じられた。それなら、500g程度のメルシートなんて最初から貼り付けるなと思うところだが、狙いは別のところにありそう。というのも…。

運転して気づいたのが、右足の踵がフロアパネルに触れたときの感触が、硬いものに触れたときのそれだった。ブレーキペダルに足を置いた際に踵が靴からカーペットを通じて、フロアパネルに接する。そして踵を支点として置いたまま、足を右側に傾けてアクセルペダルを踏むことになるが、やはり硬いものの上で踵を転がす感覚だ。この踵を置いたときのドライバーに対する感触を柔らかくし、踵からの衝撃がダイレクトにフロアパネルへ伝わってしまうのを防ぐ緩衝材として、あえてメルシートを残していたのでは?と予想してみたが、どうだろうか。

今のところ、踵が不快だったり、不具合が出たわけではないが、メーカーが設定した装備には何かしらの意味が含まれていることを改めて考えさせられることになった。

走行距離:250,262km

コールマン エコクリーン 1L 170-6759:1,300円
ドライアイス3kg(+2kgおまけ付):1,620円

総費用:2,920円